「日本のサッカーが私の傲慢(ごうまん)な判断をひっくり返しました。日本のサッカーファンに謝罪します」

 MBC放送でサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会の解説を務めるソ・ヒョンウク解説員が2日、自らのユーチューブ・チャンネルに謝罪の映像をアップした。ワールドカップのグループステージ組み合わせ抽選が行われた今年4月、日本はドイツやスペインなど優勝候補と同じ「死の組」に入ったが、その際に笑いをこらえ、固い表情の日本の森保一監督を見て「現実自覚タイムが来ました」などとからかうような発言をしたことへの謝罪だった。抽選が行われた際、MBC解説員のこの発言は多くのスポーツファンを不快にさせた。日本が強豪チームと同じグループに入ったことを喜ぶような字幕が入った映像も日本のSNS(交流サイト)などにアップされ、日本のネットユーザーは怒りをあらわにした。

 サッカー日本代表は今回のW杯グループステージでドイツとスペインを破り、グループEの1位で16強に進出した。アジアの国で2大会連続16強進出という新しい歴史を刻んだのだ。日本代表がこの「奇跡のドラマ」を成し遂げた直後、ソ解説員がただちに謝罪したのは勇気ある行動と評価してもよいだろう。当時はMBCだけでなく韓国のユーチューバーや一部ネットユーザーらも日本に対し「ざまあみろ」などと露骨に侮辱していた。しかし記者が寡聞なためか、これまで彼らが謝罪したという話は聞いていない。

 韓国代表は3日にポルトガルを破り、またガーナがウルグアイに2失点だけで敗れたため奇跡的に16強に進出した。日本のSNSでは韓国と日本が同時に16強に進出したことについて「今や誰もアジアを(サッカーの)弱小地域とばかにはできない」「アジアのスポーツがさらに一層発展することを期待する」などと祝いの言葉が多く見られる。「準々決勝で両国が対戦すればサッカーの歴史で絶対に負けられない対決になるだろう」として両国の準々決勝進出を願う書き込みもあった。先週末にソウルで会った日本政府関係者やソウル駐在の特派員たちも「16強に進出した韓国ファンの応援の熱気で私も寝られなかった」「両国が再び奇跡を起こし準々決勝で対戦できればよいですね」などと語りかけてきた。

 6日に日本はクロアチアと、韓国はブラジルを相手に16強の試合に臨む。相手を見ればブラジルの方がクロアチアよりも強いかもしれない。しかしこれについて日本のサッカーファンたちが韓国代表に「ざまあみろ」などとばかにするような声は聞こえてこない。欧州と南米が二強として君臨するワールドカップで韓国と日本が共に準々決勝に進出し、アジア・サッカー界の力を発揮してほしいと思う。しかし両国のうちどちらか、あるいは両チームが敗れたとしても互いを激励するスポーツの精神は失わないでほしい。MBC解説員の謝罪はそれが可能であることを示す土台となった。

キム・ドンヒョン記者

朝鮮日報 2022/12/05 08:41
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