【時視各角】「ピーク・コリア」危機
6/15(木) 9:39配信中央日報日本語版

「ピーク・ジャパン」。日本がピークを迎えたという意味だ。金鍾仁(キム・ジョンイン)未来統合党(「国民の力」の前身)非常対策委員長が2020年夏に日本を反面教師にしようと呼び掛けながらこの題名の本を党議員に配って話題になったことがある。

しかし最近の日本は「ピーク・ジャパン」とは距離が遠い。日本経済は1-3月期に0.7%成長した。この成長が続くと仮定した年間成長率は2.7%だ。これに対し韓国は1-3月期に0.3%成長した。韓国銀行の今年の成長見通しは1.4%。韓国は亀の歩みなのに日本は走っている様相だ。

株価は連日30年ぶりの最高額記録を塗り替えている。代表指数である日経平均は今年に入り約30%上がった。あふれる外国人観光客は経済に活気を吹き込んでいる。4月だけで約200万人の外国人が日本を訪れ、月間旅行収支黒字が2941億円に達した。同じ月に韓国の旅行収支は5億ドルの赤字を出した。

日本経済の足を引っ張っていた物価も上昇している。消費者物価指数は20カ月連続上昇中だが、4月には3.4%上がった。無制限通貨発行のアベノミクスを繰り広げた安倍元首相(2022年7月死去)もできなかったデフレ脱出を岸田首相が可視化している局面だ。

ハイライトは日米経済協力の画期的強化だ。先月末に米商務長官と日本の経済産業相が会談後に出した「日米商務・産業パートナーシップ(JUCIP)」共同声明が端的な例だ。声明には「半導体供給網の回復弾力性を害する生産の地理的集中を解決するために協力する」という内容が盛り込まれた。韓国(メモリー)と台湾(ファウンドリー)が受け持ってきた半導体生産を米国と日本も直接することで両国が意気投合したというのが専門家らの分析だ。韓国には悪材料で、日本には好材料だ。実際に米国の半導体企業マイクロンが日本への投資を大幅増やしており、IBMは日本企業と先端半導体を共同開発中だ。1980年代後半の日米半導体協定とプラザ合意で日本の半導体産業を狙った米国がいまは先端技術まで支援しながら日本の半導体を立て直している。

しかし人口問題は依然として深刻だ。昨年日本の合計特殊出生率は1.26人。過去最低だ。こうした日本をめぐりテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は昨年、「出生率が死亡率を超える変化がないならば日本は結局存在できないだろう」と評すこともした。しかし少子高齢化ならば日本は韓国より事情がはるかに良い。韓国の昨年の合計特殊出生率は0.78人、世界最下位だ。

『ピーク・ジャパン』(ブラッド・グロッサーマン)は、危機を迎えても問題を改善しない「変化の遅滞」と「改革の不在」が日本の衰退を呼ぶと分析した。しかし変わらずに改革を拒否することでは韓国が日本よりずっと上ではないか。韓国には1990年代後半の国際通貨基金(IMF)による管理体制後は国レベルの改革がなかった。労働改革も、年金改革も、公共部門改革もやり遂げることができなかった。規制・差別・既得権の障壁が随所にある。良質の働き口は限定されており、不動産や教育費などの高コスト構造は堅固だ。そのため青年層は最初から結婚を敬遠し、出産を忌避する。政界の対立解決能力は低い。今度は日本の福島汚染水放流問題をめぐり2008年の狂牛病問題の時のように見苦しく対立している。

日本が過去最低の出生率を記録したという中央日報の記事にはこうしたコメントがつけられた。

「それでも韓国よりは良いです。私も結婚する考えはないです。まわりの子たちもほとんど非婚主義で。社会がこうなのに産みたいでしょうか。何をしてもどうせ学歴や財力で決まるのに私1人生きるだけで忙しい…(後略)」。

反論しにくい話だ。青年が挫折すれば社会は低活力・低成長の泥沼に陥ることになる。日本はピークを突き抜けて進むが、韓国は「ピーク・コリア」が大股で近寄ってくるようだ。これが危機だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0b8e72a4c5e66999f4f3c391c41ce77846d33637