ほぼ稼働しないまま廃炉となる高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について会計検査院が調べたところ、研究や開発のために少なくとも1兆1313億円の経費がかかっていたことがわかった。

 このうち約4割を占める保守管理費のなかには、必要性に疑いのある契約が複数含まれていた。

 検査院が11日に国に報告した内容によると、決算書などの保存が確認できた1971年度〜2016年度の研究・開発経費は1兆1313億円。

 このうち4382億円は、燃料の加工が始まった1989年度以降の保守管理費が占めていた。検査院として、費用の総額や内訳を初めて算定した。

 「もんじゅ」の保守管理をめぐっては、1万個以上の機器の点検を怠っていたなど、数々の不備が指摘されてきた。

 検査院の検査では、これ以外にも、交換が予定されている機器に点検を実施したり、性能試験の再開が見込まれないのに試験の準備作業を続けたりするなど、不要とみられる契約がみつかった。

 国は2047年度までに廃炉を完了させる計画で、最低でも3750億円がかかると見込む。検査院は、廃炉費用に人件費や固定資産税が含まれていないことを挙げ、さらに費用が増加する可能性を指摘。

 「もんじゅ」の運営主体で、今後の廃炉作業を担う日本原子力研究開発機構に対し、「国民への説明責任を果たすためにも、費用について適時適切に明らかにする」よう要請した。

 本格的な稼働には至らず、性能試験での稼働日数は250日。検査院は、性能試験開始以降の技術成果の達成度も独自に試算したが、結果は当初の目標の16%にとどまっていたという。(高橋淳)
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