イキリ散らしていた陽キャの職場とは程遠く、暗く冷たく、
PCのモニターと脳髄の収められたカプセルの薄明かりだけが灯る地下室。
株式会社セガ取締役CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)。
その立場にも関わらず生放送でユーザーを煽る姿を全世界に公開した名越。
もはやネット上では通称CCO(チーズ牛丼発言したかりんとうのオッサン)にまで堕ち、
さすがにかばい切れなくなったSEAG上層部の判断により彼が放り込まれたのは、悪しき伝統パソナルームであった。

「チ牛ちゃ〜んw」
ねっとりボイスと共に名越を迎えたのは嶋野の狂犬こと真島吾朗ではなく、島流しの狂権こと酒井国王。
「聞いたわよぉ〜〜〜wwwwぷよぷよプレイヤー煽ってここまで来たって?w」
「しん…で止めたァタシの自制心見習わなきゃダメじゃんねぇ?アッハァw」
もはやメカキングギドラを抱えたあのときの不遜な若者ではない。
すっかりエロさを撒き散らすようになった酒井を見て、名越はこいつとなら新しい価値観を作れると確信した。
「…なあ酒井、オマエこんなところにいていいのか?俺たち二人で戻らなきゃダメなんじゃねえのか」

60代が見えてきている名越はここで終わるつもりはなかった。
かつて面接で垣間見せた非常識と不遜のオーラをそのままにSEAG出世街道を駆け上がり
勢い余って落ちてなお、この地下に独立国家を築くカリスマを見せ、
肛門性交に興じているだけで給料が入ってくるという酒井のエロさをもってすれば
再び駆け上がり、天下を取ることも夢ではない。しかし――
「プラスのパワーが集まったらまた皆さんにお会いできるかもしれない」
「今はプラスとか言ってる場合じゃねえんだよ、とにかく何か作んねえとダメだ」
「酒井智史愛してくだっ…さい!」
激臭を漂わせ自分の世界に陶酔する酒井の姿に、名越は何かが自分の中にインストールされるのを感じた。

「…うるせーよトロマン」
ヤクザ脱ぎで一瞬にしてスーツを投げ捨てる名越。
貧弱な体に似合わぬ迫力でいきり立ち、その股ぐらで天を衝かんと黒光りするそれは、まさしく龍が如く。
「アイッ!?」
“酒井を犯せ”。墨文字で脳内に浮かんだ言葉に従い、一気に突き入れる。JUDGEMENT-審判-の時である。
ズンッッッッ!!!!!!!!
「「!?」」
磁極のごとく引き合うNとS。根底で同じ性質を持つ二人の相性はかつてないほど一致した。
(こいつの中……!男がこんなに気持ちいいのか……!?)
「んっ!んっ!んっ!んんんっ!?これっ、木村より!?」
パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!
怪文書シリーズを重ねておらず、まだ一般人寄りの名越にトロの蜜壺はあまりにも刺激が強い。
注挿を繰り返す名越のヒートゲージはあっという間に高まり切った。
「イクぞ酒井!」
「んんんんんんんんっっ!ダメえええええええ!!!!!!」
「オラァ!!!!!!!」
近場にあったカプセルに顔面を叩きつけ、中の脳髄から電極を抜き取って突き刺す。
「アイイイイイイイイイイ!!!!!」
電撃で痙攣しながら締め付けてくる刺激に耐えられるはずもなく、
名越は咆哮と共に逆流するほどの精液を吐き出した。かつてない恍惚と虚脱感に浸る名越。
その時であった。
「あんた…」
両手にアイスを抱えた男がいつの間にか背後に立っていた。一分の隙もないその立ち姿はまさしく“侍”。
この男から逃げ切るのは不可能だろうと一瞬で悟った。
隣には肛門から紅白の液体を垂れ流しピクリとも動かぬ酒井。言い逃れは出来ない状況であった。
しかし、インストールされた何かに突き動かされて腰を突き動かしただけで、
最中も憎悪や殺意は微塵もなかった名越はきっぱりと宣言した。
「俺は……誓って殺しはやってません」
「そうだな、あいつ次の怪文書で復活するしな」
意気投合した“龍”と“侍”は仲良く肩を組んで夜の街へと消えた。