SFORZATO DSP-Doradoとの比較も書いておく。私のシステムにおけるDSP-Doradoは以下のような接続となっている。
canarino Fils × JRiver Media Center
JCAT NETカードFEMTO

SFORZATO DSP-Dorado(NOSモード・Diretta/LAN DACモード)

SOULNOTE A-2  Dynaudio Sapphire

 D-2には他の再生ソフトを凌駕する再生品質をもたらすJPLAYを最良の状態で使えるという強みが、
DSP-Doradoには完全に予想外のポテンシャルを発揮したDiretta/LAN DACモードという強みがある。
税別価格はD-2が600,000円、DSP-Doradoが800,000円(底板補強オプションでプラス3万)と、完全に別セグメントというわけでもない。
 互いに死力を尽くした極めて興味深い比較だが、既にDSP-Doradoを使っている身からすれば恐ろしくもある。

 結論から言うと、私の再生環境における両者の絶対値は互角。
LAN DACモードのDSP-Doradoはその時点で過去最高の生命力横溢な音を聴かせてくれたものだったが、
D-2はさらに上をいく。
 「音そのもの」のディテール描写でもD-2がDSP-Doradoを上回る。
例えば『John Butler / Ocean』では、指と弦が擦れる音の生々しさで顕著な差が出る。

 一方、静寂感、上下左右奥行方向の立体感、曲ごとの表情の豊かさといった点に関しては、DSP-Doradoに軍配が上がる。
 つまるところ、DSP-Doradoの方が「魅せ方」「聴かせ方」が巧い。

 もっとも、これらの比較はあくまでも(私の中では)限りなく高いレベルでの話である。
D-2が静寂感に欠けるわけでもDSP-Doradoが生々しさに欠けるわけでもない。
全能力値がカンストした状態でボーナスポイントの割り振りを考えているようなもんである。

 SOULNOTE D-2は素晴らしい……というより、凄まじいDACだ。
渾身のNOSモードを活かすべく投入された4個のES9038PRO、超強力な電源&アナログ部、
じゅうぶんすぎる対応フォーマットのスペック、忘れてはならない将来性の高さ。
よくもこれだけの内容を、多くの人にとって「非現実的」ではなくなんとか「非常識」の範疇に留まる価格帯に詰め込んだものだと思う。
 そしてなにより、この再生音の凄まじさである。
こんにちにおいて、間違いなく最強の一角を占めるDACに違いない。