その昔、多くの欧米の学者は東洋の哲学を取り扱うときに、
いつもその哲学が組織的でなく、その「非論理性」をあざけり笑った。
彼らはアリストテレスの論理に立って、これをもたざるいっさいの思惟を価値なきものと抹殺しようとした。
(中略)
ところが社会理論の激化につれて、彼らの分析的理論はいわゆる世情に即せざる「哲学の貧困」を暴露してしまった。
頭脳だけで考えること、いっさいを抽象し、概念化することを人生の王座においた欧米の論理主義は、
逆に、人生の如是相をとらえるものでないことを知るに至った。
抽象の形式はものの生きたすがたをとらえるのではなくて、死体の解剖にすぎないことを知っていた。