2 絶対座標の否定が示すこと

 光速度一定の原理は不思議ですが、ここで注目されなければならないのは、絶対座標が実在しないということです。
 地動説もそうですが、わたしたちは対象の運動を理解する場合には座標原点、運動量ゼロを適当に設けます。
 絶対座標を探求することは、自然における始点の探求でもありますが、それはこの原理によって否定されたわけです。

 座標原点はゼロ次元ですが、数学に拠れば数は部分を持ちません。その数をたとえ無限に集めたとしても0が部分を、つまり大きさをもつわけではありません。0×∞=0です。
 このことは次元の実在が否定されたことを意味しますが、それは後ほど論じることにします。

 この原理は静止の実在を否定していることを示しています。
つまり自然の存在形態は運動ということになり、量子力学の自然観である、運動するエネルギーの濃淡の海という理解を導くことが出来ます。
 なぜなら運動を前提に有と無という否定関係が成立することはないからです。