一方、店舗側が不正を黙認しているケースもあるという。東京都内の携帯電話販売店の男性店員(27)は「店側も契約のノルマを達成するための実績になるため、ウィンウィンの関係にある」と明かす。SNS上では、店側に不正を見逃すように依頼した上で、そうした店舗を希望者に有償で紹介する「手配師(てはいし)」と呼ばれる人物も存在するという。

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手携帯電話3社は毎日新聞の取材に、いずれも「自社の販売店で不正行為があったとの報告は受けていない。3G契約からの買い替えかをしっかり確認した上で値引きしている」と強調する。

 3Gからの買い替えに限って端末代の0円までの値引きなどを認めた19年10月の電気通信事業法の改正を受け、総務省は事業者向けのガイドラインで、他社の3Gからの買い替えの場合、以前の契約書や請求書、前の事業者のコールセンターへの問い合わせなどで契約内容を確認するよう求めている。同省は「問題があれば、さらに必要な対策を検討したい」としている。