ragazzi: 特に「Guardian Pitch」の終わりのキーボード・ソロなんかは、Dream Theaterとか、
いわゆるプログレ系メタルのソロっぽくありませんか? Dream Theaterはご存じですか? 
ご存じなら、その評価は?

Morgan: ぶっちゃけ言うと、大っ嫌いだ。ほとんど聴かないから断言するのもどうかと思うけど、
聴いたことある曲は全然受け付けなかった。80年代のヘビメタと安っぽいフュージョンを一緒に
したみたいな感じだったな…。

ragazzi: Matsとあなたはずいぶん長いこと一緒に活動していますが、きっかけは何だったん
ですか?

Morgan: 1981年、僕が14歳だった頃に、一本の電話をもらったんだ。スウェーデンのUmesの
郊外にある小さな村で、コンサートを企画してる女性からだった。Matsがピアノを弾くんだけど、
誰も共演者がいなかったんだよね。彼女は僕のことを知ってて、音楽的趣味も年齢もぴったりの
はずだからって言うわけ。Matsには、あいつの好きな音楽を一緒にプレイしてくれるような
友達が誰もいなかったんだよ(ヘンな話だろ)。何しろ、よちよち歩きする前からMiles Davis
やらMahavishnu OrchestraやらFrank Zappaやらを聴いてたような奴だから。7歳の時に
「Earth Wind & Fireのニューアルバムを買ってくれなきゃ飛び降りてやる」って階段で暴れた
こともあるらしいし。僕もそこまでむちゃくちゃはやらなかったけど、友達と音楽的趣味が
ズレてたのは同じだった。Buddy Rich Big BandとかLouie Bellson Big Band、Wasa Expressが
好きだったんだ。そんな事情で、まあ電話をくれた彼女の読みは正しかったわけ。趣味は
合ってたし、その後も相棒としてずっとやってくことになったわけだしね。ともかく、彼と
一緒にプレイしてみたいと伝えた数日後に、Matsが父さんに連れられてうちにやって来た。
7歳か、もっと幼いぐらいに見えたな。握手してから、演奏する曲目を決めることにした。
なにしろショーの2時間前の話だから、何かのカバーをやるしかなかったんだ。当時10歳の
Matsが「Frank Zappa知ってる?」って聞いてくるから、僕も「"Bobby Brown"なら
リハなしでやれると思う、これで1曲分だね」って答えるだろ。後は「Stevie Wonderは?」
「"Master Blaster"なら知ってる。君は?」「知ってるよ! じゃBeatlesは?」「"Help"
なら大丈夫」って感じ。僕らの持ち時間は20分程度だったから、出し物はこれで足りた。
それからリハーサルを始めたんだけど、Matsに度肝を抜かれたよ。あいつまだ10歳
だったんだぜ! 演奏も信じられないぐらい凄かったし、全部の歌詞を完璧な発音で
歌いこなして、もうJackson Fiveばりだった。ショーが終わった頃には、うちの親父なんか
目が潤んでて。Matsの父さんも本当に興奮して、「よければ今後も仲良くしてやって
くれないか? うちの地下室にドラムセットがあるから…」みたいなことを言って
くれたんだ。それからずっと一緒に演奏するようになったってわけ。Matsについて
話そうと思えばあと500ページ分ぐらいは余裕で話せるけど、ここでは「あいつは
世界最高のミュージシャンの1人だ」って言うだけにしとこう。いやマジで。Matsとの
出会いは僕の人生にとって最高の贈り物だったと思ってる。