長過ぎるせいなのか?ためしに分けてみるか。


夕暮れの灰色が部屋を満たす。もはや雨を確認するために外を見る必要もない。
彼女に触れようと部屋を横切るが、しかし、彼女がすでに亡いことぐらい知ってる。
雨が窓ガラスを流れ続ける。俺に残された時間が尽きていく。

「あなたが私に何をしている分かってるの?あなたが今なにをしたか分かってるの?」
あの長く眠れない夜、狂った声で100回も俺の名を呼ぶ彼女の声をやり過ごそうとすると、
それらをやり過ごそうとすると、俺にはあたかも、彼女がまだ生きている気がする。

あの夜の輝きの中で、あなたは自分がなにをしたかわかってるの?あなたは何を始めたのかわかってるの?
本当は、私たちは二度とまた一緒になれないということが、あなたにわかってるの?
孤独なふたり、空室だらけのホテル、意味のない暴力、墓場になった部屋
そんなことによって、私達がまた一緒になれるとでもいうの?

二重窓のガラス板は、ここを夜の外界から隔絶してくれる。ただ見知らぬ街のサイレンが割り込めるだけ。
ナイロンのシーツとブランケットで寒さはなんとかしのげるが、あの冷たい音をしのがせてはくれない。
この悪夢は、すぐに消え去って、再び彼女が俺とともにいる夢を見させてくれるのだろうか?

あの夜の輝きの中で、あなたは自分がなにをしたかわかってるの?あなたは何を始めたのかわかってるの?
本当は、私たちは二度とまた一緒になれないということが、あなたにわかってるの?
孤独なふたり、空室だらけのホテル、意味のない暴力、墓場になった部屋
そんなことによって、私達がまた一緒になれるとでもいうの?

静寂と暗闇の中、あの夜の少し前、俺達は抱き合って、俺達の愛が永遠につづくことを祈っていた。