──すべての人格は全体として、誰が追求しても、その人物に対応した人格を登場させ、しかも、
次々と最も相手を感心させ、同情させる順序で出せるのである。(104ページより)
ミリガンは、筆者にはきわめて自己顕示的で、人を思うがままに操作することでしか満足を得られない、
人間の感情が欠如した、きわめて厄介な人物としてまず映る。
診断で言えば、境界性の人格障害と、演技性の人格障害と、アレキシミア(失感情症)が合併しているとなろうか。
しかも、立派な犯罪者に見え、多重人格というミリガンの本体は、
その診断、見方の遠くにかすんで存在しているに過ぎない。───引用終了───
さらに氏は、ミリガンについて控えめながらはっきりと「仮病だったのだろう」との見解を述べている。