サユミはロミオの初日にどうしても亀井氏に観劇してもらおうとSS席最前列中央の
チケットを亀井氏に送ったのだがとうとう亀井氏は劇場には現れなかった。
しかし、ロミオ初日には星組のトップ柚木や夢咲、そして綾が観劇に現れた。
終演後の楽屋には、星組の生徒達が挨拶に来ていた。自分のロミオの日では無い龍は
とてもご立腹でサユミに当り散らしていた。
「私は柚木さん達に挨拶するから、あんたは壱城に挨拶しなさいよ!」
綾と亀井氏の関係を知っていた龍はわざとサユミの嫌がることを命令したのである。
「えっ・・でも・・同期も来ているのでそちらに挨拶を・・」
「アンタ、トップである私に口答えするのいい度胸ね!」
「わ・・わかりました」

「今日が観劇に来てくれてありがとう」
綾の顔がまともに見れなく伏し目がちになりながらサユミは挨拶をした。
「素敵なロミオでしたよ。亀井さんにもご報告しておきますね」
亀井と言う言葉にサユミの胸は締め付けられた。
「そうそう私達があなたのロミオを観に行くことになったのは、亀井さんの提案なのよ」
「え・・・???」
「星組全員で明日海さんを応援してほしいと言われたの。あなた亀井さんに愛されてるのね」
亀井に愛されていると言う言葉にサユミの心は喜びに満ち溢れた。しかし
「でも亀井さんの愛は私だけのもの。あなたへの愛は同情。その証拠に彼はあなたの
 準トップお披露目を観劇には来なかった。」
綾の言葉に否定も肯定もできないサユミは、無言のまま楽屋から出て行った。
「亀井さん・・お願いです。私のロミオを観に来て下さい。」
そう涙ながら願うサユミであった。

fin