ニコフリベ(遊離性ニコチン)とニコソル(塩基性ニコチン)の違い

ニコフリベはフィリップモリスがニコチン依存症を加速させる目的で1960年代に開発した遊離性ニコチンでマルボロの爆発的な人気はこれによるもの
さらにレイノルズはアンモニア添加によって揮発性を高め、粘膜への堆積と沈着による長時間の満足感と喉へのヒット感という嗜好性を生み、ウインストンの成功につながった
・粘膜吸収によるニコチン摂取量の増加
・タバコ1本あたりの含有ニコチン量の増加
・肺胞からの吸収量増加→脳への送達時間の短縮

天然ニコチンの経路は粘膜→毛細血管→心臓→脳で、脳に届く前に臓器による分解や血管内分解があるので緩やかな効き目
ニコフリベの経路は肺胞→心臓→脳で、吸ってすぐに効く感覚と臓器による分解を回避したことでニコチン依存(満足感)を増幅

天然ニコチンとニコソルの脳への送達時間20秒〜3分
ニコフリベの送達時間は肺胞→脳で8秒だが、VAPEの場合は煙より粒子の大きい蒸気のため肺胞からの摂取は望めない


ニコソルはJUUL(ジュエル)が葉ベースの天然ニコチンに着目し、ニコフリベを安息香酸によって再プロトン化させた物質で同社が成分特許を保持している
・ニコフリベはニコチンの気化に高出力を必要としたが、ニコソルは低出力でも気化する
・ニコフリベはpH5と弱酸性であるため、濃度に比例した喉へのヒットが免れないが、ニコソルは粘膜に近いpH9の弱アルカリ性のため濃度にかかわらず喉へのヒットはなく、血中分解も少ない
・ニコフリベの倍以上の強度での運用が可能(ニコフリベの上限強度18mg/mlに対し、ニコソルの上限強度は50mg/ml以上)
・pH調整(pH9)により肺胞からの吸収量が僅かばかり上昇し、原理上では脳への送達時間の短縮や高血中濃度を維持したまま脳へ送達されると考えられるが、どちらも未検証
・pH調整により長期保管が可能になった
・天然ニコチンもニコソルも膜貫通の際に遊離塩基化されてからアセチルコチン受容体に到達するが、その際にニコソルは46%が分解されてしまう(ニコソル50mg/ml→ニコフリベ27mg/mgと同等)
・よってニコフリベとニコソルの脳への到達時間や吸収効率(吸収量・吸収率)は同じだが、物理的な摂取量を多くできるニコソルのほうが結果的に受容体の鍵穴を早く埋めることができると推測される

なお、タバコ依存症の原因はニコチンだけでなく、酸欠の快感、他有害物質による酩酊、習慣性などがある

参考論文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2564657/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6008736/
https://www.nicovape.com.au/nicotine-salt/