雨宮処凛「生きさせろ! 難民化する若者たち」から
―生存権が脅かされていますからね。
「経済的に自立できない人は、存在そのものが否定されることになっていますから。ひきこもりやフリーターは
そういう価値観を内面化してしまっている。『内なる優生思想』ですよね。自分が存在してはいけない、と思い
こまされている」
――本のなかで、自殺についても触れられていますね。死を選んでいるでのではなく、選ばされていると。
まったく同感です。
「『自己決定』『自己責任』って本当に恐ろしい言葉です。自己決定なら自殺もいい、それも自分の責任でしょ、
ってことで終わってしまう。周囲の放置も正当化されてしまう。アウシュビッツとかのユダヤ人虐殺について
『忘却の穴』という言葉があるんですけど、たんに殺されるだけではなく、殺された事実自体がなかったことに
される。それは案外この日常のなかにぽつぽつあって、そこに落ち込むと、存在自体がなかったことにされて
いく。」

佐高信、雨宮処凛、森岡孝二「信号機の壊れた「格差社会」」から
自殺と不安定な雇用はとても関係があるのではないかと私は思っています。

湯浅誠×雨宮処凛対談「反貧困 いま、「反撃」のとき!」から
雨宮:私の周りでも、フリーターをしていて30代で定職に就こうとしても全然仕事がなくて、自殺した人がいた
んです。

雨宮処凛「ロスジェネはこう生きてきた」から
02年から、20代、30代の死因の一位は、現在に至るまでずっと「自殺」である。

雨宮処凛「排除の空気に唾を吐け」から
自暴自棄の果ての犯行。そして自殺願望と紙一重の無差別殺人。
自分を殺すことと、他人を殺すことは、時に紙一重だ。だからこそ、「無差別殺人」は遠いものでもなんでもない
と思うのだ。「自分を殺す」人は、この国で年間3万人。16分に1人が自ら命を絶っている。警察庁の発表によると、
07年1年間の自殺者は3万3093人。20代、30代の死因の1位は「自殺」だ。02年からずっと、20代、30代の死因の
1位は「交通事故」でも「病気」でもなく、「自殺」。
もちろん、この事件の原因すべてが「働き方」にあるわけではない。しかし、「絶望」を生み出すこの国のシス
テムについて、私たちはもっと深く考えなければいけない。