紳士でいて、情熱的な部分もある伊能だが、
第2週目のラストではまた違った一面を見せる。
新一(千葉雄大)が息を引き取り、てんは婿を取って店を継ぐ決心をし、
伊能にもう一度縁談を考え直してほしいと手紙を送る。
新一が生前書き記していた新薬についての論文を添えて。
伊能は、「日本でしかできない新しい薬を作る」という新一の考えに感銘し、
彼の思いを継ぐこと、そしててんの手紙に溢れた家族を思う気持ちに
突き動かされた。しかしながら、藤岡家とのビジネスパートナーとして、
また“西洋の自由な恋愛”に憧れる伊能は、てんとの縁談の話を破談に。

 また、てんが伊能に投資のお礼を告げるため二人になるシーンでは、
彼が思わせぶりな態度を取る。「君に興味がないわけじゃない」
と言う伊能は、新一の論文を送付した機転と家族への思いを讃えながら
「君となら僕もそんな家族を作れるかもしれない」とてんに視線を送る。
では、なぜてんとの縁談をなしにしたのか。
「君がほかに思いを寄せる人がいるようだったから」、
そう言って人間観察が得意な伊能は、
てんの藤吉への思いを見透かしていたのだった。