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2018.12.24
【佐久間淳子】「2019年6月末日に脱退したとして、鯨肉供給がどうなるかを、グラフを整え直しながら、考えてみた」
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2019年6月末日に脱退したとして、鯨肉供給がどうなるかを、グラフを整え直しながら、考えてみた。
書き込みが煩雑だが、政府が(菅官房長官が)21日時点で「検討中、なにも決まってない」という、その検討内容が書き込んであると思ってほしい。

1.南極海での捕獲はゼロになる(3月末の持ち帰り分まで)

2.北西太平洋のイワシクジラは、商業捕鯨できない
(CITESで北太平洋のイワシクジラがダウンリスティングされるまでは不可)。なんでそんなクジラを調査捕鯨しつつ、ダウンリスティングの働きかけをしてこなかったのか理解できない。

3.輸入は、これまではIWCの勧告に従って、加盟国同士のみにしてきた。アイスランドが2002年に再加盟したのも、日本への輸出をするためだった。
しかし、この度の「脱退の方向で」報道では、
日本向けにナガスクジラを捕って輸出しているアイスランドのクバルル社のロフトソン社長がロンドン共同通信の取材に対して、「日本政府が補助金を出して鯨肉価格を抑えるとしたら、我々は不満だ」と述べている。
この言い方からすると、同氏は日本が脱退してもアイスランドから輸出が可能だと考えているようだ。
確かに、「加盟国外への輸出は禁止」というのは、IWCの勧告にすぎない。いままでは日本もアイスランドも、それを受け入れていただけだ。
脱退と同時に「勧告に強制力はない」と態度を翻すつもりかもしれない。この場合、加盟国であるアイスランドとノルウェーが、IWC内で批判される可能性はある。
あるとしても、IWCの総会の次回開催は2020年だ。それまでは非難決議は出ない。非難決議が出ても、脱退後の日本にとっては「知ったことか」ということにもできる。
でも、そんなかっこ悪いことを、するつもりだろうか?

4.商業捕鯨を日本周辺で再開するとして、IWCで合意したRMPを全く無視するわけにはいかないだろう(日本がまともな国ならば、だが)。
太平洋(北半球)のミンククジラに関しては、水産研究・教育機構の「国際漁業資源の現況 平成29年」では、
「2010年から2回目のRMP適用試験を開始し、2013年に終了した。ここでは836通りの組み合わせでシミュレーションを行い、
最も妥当性が高い系群構造の仮説では、100年間の平均で年69頭程度(最小17頭、最大123頭)の商業的捕獲枠が試算された(Anon. 2014)。」と紹介している。
1回目のRMP適用試験では、150程度だった。
実際に商業捕鯨で用いる場合には本会議で認められた数字になってからだが、日本の政府系研究機関が発表しているのだからもっとも現実味があるのだろう。
これは、沿岸も沖合(200カイリ外)も区別がないので、日本がいま商業捕鯨をIWCの下で再開するとしても、この数字に従うことになる。
さてここで思い出してほしい。小型捕鯨業者が行っている調査捕鯨でミンククジラは127頭捕っている。日新丸船団の沖合での調査捕鯨は43頭捕っている。合計170頭。
RMPに準拠すれば、商業捕鯨を再開しても、この半分も捕れないことになる。
また、「科学に基づいて」と言ってきた日本が、脱退したからといって、自分らが「最も妥当」と挙げた数字の倍以上も、ミンククジラを捕りに行くだろうか?

5.残るところ、いままで同様に供給されそうなのは、定置網による混獲クジラのみ、ということになる。
これが、日本が脱退し、「商業捕鯨再開」をしたときの想定される鯨肉供給量だ。
つまり、鯨肉の供給量は、加盟している今よりも極端に減る。

日本は脱退によって、
「商業捕鯨再開」という「名」を取り、
鯨肉を数千トンレベルで供給し続ける「実」を捨てるのだ。