>>227
次に、グラフを見てほしい。
鯨肉供給の推移
https://image.chess443.net/S2010/upload/2018122500004_2.jpg
2010年以降に、日本国内向けに供給されたヒゲクジラ類の肉の重量を、供給方法別に色分けしたものだ。
棒グラフは下から、南極海での調査捕獲による鯨肉(クロミンククジラ、ナガスクジラ)、北西太平洋での調査捕獲による鯨肉(イワシクジラやニタリクジラ、ミンククジラ)、
沿岸域で小型業者が実施する調査捕獲による鯨肉(ミンククジラ)、定置網に混獲される鯨肉(ヒゲクジラ類)輸入される鯨肉(ナガスクジラ、ミンククジラなど)となっている。
赤い破線は、各月末の市場流通在庫である。
2018年の供給量のうち、輸入については11月末までに通関した量を記した。
12月にまとまった量のアイスランド産ナガスクジラの肉が通関しているかもしれないが、その統計の発表は早くても1月末だ。
2019〜20年の供給量は、一部を「?」で示した。
北西太平洋での調査捕獲に関してはミンククジラだけを抜き出して色を分けてある。
ここには、沿岸小型捕鯨業者が捕るツチクジラや、いるか漁業で供給されるイルカ類(ハクジラ類)の肉は含まない。それらは現状では、およそ500トンとみられる。
今後、どのくらいの量の鯨肉がどんな方法で供給されるのかはっきりしないため、注釈が煩雑になっている点をお許しいただきたい。
いずれにしろ、「商業捕鯨再開」はするものの、その海域は、これまで調査捕鯨を行ってこなかった太平洋側の200カイリ内である。
捕獲可能頭数はまだ発表されていないけれども、採算が合うような捕獲頭数になるかどうかというと、かなり怪しい。
国産鯨肉の供給量が格段に減るのは間違いない。その不足分を補うために輸入が増える可能性が高い。
地図とグラフからわかることは、IWCを脱退して商業捕鯨を始めるにあたっては、捕鯨をする海域が脱退前よりも格段に狭くなり、鯨肉の生産量もかなり減る。
足りない分は輸入に頼る、というものである。そんな「名ばかり」の商業捕鯨再開を、なぜするのか。鯨肉供給の側面からまとめてみる。