>>244
○鈴木
今後日本は沿岸部だけで捕鯨をすると言っていますが、これについてはどう思いますか。

○佐々木
なぜ日本の捕鯨が反対されるかというと、大きく2つの理由があります。
1つは南極海で捕っていること。ここはサンクチュアリ(保護区)なのに、日本だけそこで捕っている。
山本太郎議員が言ってましたが、野鳥保護区で鳥を撃ち落として焼き鳥にして食べているようなものだと、笑。そういう感覚ですよ。
2つめは、しかもその捕鯨を調査だと言っている。実は商業捕鯨だと言うところを、調査捕鯨だと科学の名前を借りて捕っているというところが非難される理由です。
ノルウェーだってアイスランドだって商業捕鯨をやっているわけですが、自分たちの海域内で捕っているから、ほとんど文句を言われない。
しかも絶滅危惧種の鯨を獲ってるわけではないので。

○鈴木
そう考えると、日本が沿岸だけで商業捕鯨するのは、反捕鯨国から見ても「許容範囲」になるかと。

○佐々木
ただ再開する前に、科学的根拠を具体的に、どれだけ資源数があって、これだけ捕っても大丈夫だと、環境に悪影響がないときちんと証明することが必要です。
そして国内に対しては、それが商業・ビジネスとして成り立つのかを、きちんと説明する必要があるのではないでしょうか。
つまり政府の補助金無しに続けられるのかということです。国民の税金まで使ってやらなきゃいけない商業捕鯨なんてありえないですから。

○鈴木
参加国でいうと、捕鯨支持が41か国で、捕鯨反対が49か国と言われていますが、これまでの日本の活動はどうご覧になってきましたか?

○佐々木
水産庁の人たちが政府代表として総会に向け、ち密に準備されているのを見てきました。
でもやっぱり欠けているのは、マスコミへの対応ですね。
驚いたのは、2010年のモロッコでの総会は、カメラ取材に行ったら、記者会見に日本人しか入れない。
外国人ジャーナリストが日本政府の人にインタビューを申し込んでも、ほとんど断られると不平をもらしていました。
14年のスロベニア総会では、スロベニア人のカメラマンと一緒に行ったら、事務局の方から「ちょっとすみませんが違和感があるので退出してください」と言われ、退出させられたんです。
その際の映像もありますよ。情報発信以前の問題です。

○鈴木
2010年は反捕鯨映画「ザ・コーブ」がアカデミー賞を取って、世界的に日本の捕鯨やイルカ漁に批判が集まった年です。
そんな時こそ、日本は世界のメディアを集めて積極的に反論をしないといけないのに、なぜそこまで内向きになってしまうのでしょうか。

○佐々木
間違いなく日本の対応は間違っています。もはやIWC脱退以前の、伝え方、コミュニケーションの問題ですよ。
海外に対しても、日本国民に対しても、政府は説明責任があると思います。
これだけ批判されているのに、IWC脱退して、しかも商業捕鯨を再開するのなら、本当に周到な説明が必要だと思いますよ。

○鈴木
周到な説明とは?

○鈴木
今回のIWC脱退で、日本国内にも捕鯨に対して反対する声が増えたような気がします。

○佐々木
その反応には、私も驚きました。これまでは、シーシェパードのような外国人が「止めろ」と圧力かけてきて、これに対する反発が大きかったわけですよ。
「自分は鯨を食べないけど、外国人にそんなことを言われるのは嫌だから捕鯨賛成だ」と。
ただ今回は一部の政治家の強引な動きでIWCを勝手に脱退しているように見えているので、「何で捕鯨を続ける必要があるのか」とすごく不満が広がったのではないかと。