鷲(Der Adler)

翼をひろげ
河の上を、
湿原の森の上を舞う
鷲 ーー 雷雲の空に
輪郭を燻らせてただようしるし、
わたしの扉の木に
打ち込まれた鉤爪 ーー わたしは
目覚めるだろう、よろけながら、森深い山の麓で
眼を瞬かせて目覚めるだろう
茂みの中から。

翼をひろげた
鷲をわたしは我が家の棟に
釘で打ち付けた ーー わたしは
眠るだろう、眠りながら
飛ぶだろう、灰のしるしとなって、
森の上を。

鷲→ゼウスの使者として神の到来を告げる鳥
鉤爪→WW2の罪過を負うドイツ国民の象徴