戦後の日本経済は、世界中でもめずらしいくらい階級とか身分とか人種とかの差別の少ない社会で、
しかもみんなが自由に自分にとって何がいちばんいいかを判断して行動できる、自由競争の市場経済の理想型に近い社会だった。
欧米諸国の租税負担が軒並み国内総生産の三〇〜四〇パーセントを占めていた中で、日本の租税負担は二〇パーセント台の前半ですんでいた。
だからこそ、民間企業が自由な競争の中で大胆な設備投資をする資金的余裕があり、一貫して高い民間設備投資が高度成長経済を実現したのだ。