作家の阿刀田高氏が、確か「新トロイア物語」)の後書きで、
「歴史に忠実過ぎると現代人の我々には何をしているのかわからない行為を
記述することになるから、やはり現代の人にわかるように書くことにしている」
という様なこと書いていたと思う。

一方、パスカール・キニャールは『アプロネニア・アウィティアの柘植の板』では、
前半1/3が「普通の歴史書」となっていて、「現代の読者への説明」を
行った後、残り第二部で、古代人の思考を再現する手法をとっている。

自分としては、どちらもあっていい、と思っている。しかしまあ、
歴史小説が全て折口信夫「死者の書」みたいなものばかりだったら疲れてしまう。
色々なものがあっていいのではないかな。