『隠れた薬害? 精神分裂病』(夏来進/文芸社)単行本(ソフトカバー) - 2008/3/1
https://www.amazon.co.jp/dp/4286040755
 精神分裂病のレッテルを貼られた人間に社会復帰の道はあるのか?精神病院に入院させられ、
 強力精神安定剤を何度も服用させられ躁うつ状態に見舞われる。
 精神分裂病患者が偏見の眼で見られている現状を憂え、
 人権の回復を願い、危険な薬物の障害を訴えるドキュメント。


 統合失調症患者の手記『隠れた薬害? 精神分裂病』(夏来進/文芸社)の内容は、さらに宗教との類似を思わせる。
 鹿児島ラ・サール高校から東京大学医学部というエリートコースを歩んでいた著者は、研修医時代に、
 「私は神だ」「お前は祝福された存在だ」「私は、お前をより高い次元の素晴らしい所へ導くためにやってきたのだ」
 といった声を聞く。その声に突き動かされるように著者は自分なりの宗教観を編み出し、
 その考えを街角に立って話すようになった。
 そのうち、そんな彼の話に耳を傾け、お布施をしようとする人まで現れたという。

 しかし、興奮状態から医学部の教授と乱闘事件を起こした彼は、精神科病院に連れて行かれ、
 精神分裂病(当時の呼称)と診断される。
 大量の抗精神病薬を投薬され、3カ月の入院をさせられた彼が退院して、かつての宗教活動の仲間に
 「すみませんでした。私は精神病でした」と告げると、仲間たちは呆然となったという。