ドイツとフランス
中央集権と地方分権

 両国の政治の仕組みをみても、その間にはきわだった対照がみられる。
フランスの強大な大統領制とドイツの議院内閣制からして大きな違いがみられるが、
より顕著なのは前者の中央集権制に対する後者の地方分権制である。

 フランスはその発端から、ひたすら王権を強化し、王領を拡大することによって形成され発展した国家である。
パリとオルレアン一帯を支配するにすぎなかったカペー朝初期の所領が、ほぼ今日のフランス本土全域にまで拡大されたのは、
17世紀ルイ14世の時代であるが、これをもたらしたのは、歴代の王が一貫して行なった力による征服の結果に他ならなかった。
その国土膨張の過程で、支配を維持し統一を強化するために確立されたのが、パリを中心とする中央集権制度であった。

 フランス革命で王政は打倒されたが、中央集権制度は生き残っただけでなく、革命とその後のナポレオン時代にさらに強化されて今日に至っている。