>>864
いえ、骨もそのままです。犬・烏・鳶が肉ごと回収していくので。
平安前期に「死穢」の観念が規定され、庶民では財力がなければ家族以外は葬送に参加しなくなり、
火葬や土葬ではなく、ただ野に遺棄して鳥獣に食べさせるようになりました。
平安〜中世前期の記録には、鳥獣が死体の一部をくわえて敷地内に侵入してきたことによる死穢の
発生の記録が頻繁に見られます(死体の一部による穢れを五体不具穢と呼んだ)。
室町期になると死穢の観念がゆるんで共同体による葬送が行われるようになり、貧民や身寄りのな
い妓楼の人間ぐらいしか遺棄葬は行われなくなっている。
江戸時代になってからも、行き倒れや身元不明遺体はそこいらの野に遺棄されていたようですが。

なお、死穢の考え方では、妊娠三ヶ月以上の胎児は「人間」と看做されていました。
確か『柳斎志異』では堕胎を殺人扱いしていなかった筈ですが、妊娠期間については不明。