米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に対する中国の報復で訪韓中国人客が激減する中、韓国のロッテ免税店がタイ・バンコクに市中免税店を今月オープンした。
韓国国内の免税店を訪れる外国人客が前年に比べ半減するなど免税店事業をめぐる環境は深刻で、新羅免税店は訪韓日本人客確保のため「新羅インターネット免税店日本モール」のウエブサイトとモバイルアプリを開設したほど。
一方でこの年末に予定されていた新規の免税店オープンは相次いで延期される見通しで、一時「黄金の卵を産むガチョウ」と評された韓国の免税店事業も“風前のともしび”だ。
タイの市場開放策は渡りに船?
韓国免税店最大手のロッテ免税店が今月、タイの首都バンコクに市中免税店をオープンした。聯合ニュース(日本語電子版)など韓国メディアが報じている。
繁華街RCAにある韓流テーマのショッピングモールの2〜3階に展開。化粧品やファッションアイテム、電子機器、酒類、たばこなどの約300ブランドが入り、まずは現地ブランドの売り場から営業を開始し、下半期にグランドオープンするとしている。
今回のロッテをはじめとする韓国免税店のタイ進出の動きは、タイ政府が国内外の免税店の競争を促し、外国人客誘致を図るため、市場開放に前向きな姿勢に転じたことも背景にある。
ただその一方で、韓国側もTHAADの韓国配備に対する中国の報復で訪韓中国人客が激減する中、韓国国内の免税店店舗も苦戦を強いられていることから、海外店舗の拡充で競争力の強化を図る必要性を迫られていた。
ロッテはバンコク市内店を含め、海外で展開する店舗は7店となった。
免税店客半減で、日本にも頼らざるを得ない
韓国の免税店事業も、タイに頼らざるを得ないほど深刻な状況なのだろう。
韓国免税店協会が明らかにしたところによると、韓国国内の免税店を4月に訪れた外国人客は99万8000人で、3月の123万4600人に比べ19%減少したという。韓国紙、朝鮮日報(日本語電子版)が伝えている。
つまり、THAAD報復措置によって韓国を訪れる外国人客の半数を占める中国人客が急減した影響で100万人を切ったわけだ。1年前の183万人に比べると約半分で、中東呼吸器症候群(MERS)感染問題で訪韓客が急減した2015年7月以来の低い水準になった。
韓国側は東南アジアのタイだけでなく、日本にもすでに手を打っている。聯合ニュースによれば、新羅免税店は4月、韓国を訪れる日本人客のために「新羅インターネット免税店日本モール」のウェブサイトとモバイルアプリを開設した。
日本モールは、2014年に運営開始した中国モールに続く2番目の外国人を対象にするインターネット免税店で、「中国人がダメなら日本人を」という安易さがうかがえる。
新羅免税店は個人情報を登録する必要がなく、簡単な認証手続きだけで加入やログインが可能なSNS加入システムに日本で主流の無料対話アプリ「LINE」アカウントを追加するなど、日本の顧客向けに利便性を高めたとしている。
本当? 夏休みに中国が報復緩和
THAAD報復措置の影響は広がり、年末に予定されていた新規の免税店オープンが相次いで延期されることになりそうだ。
朝鮮日報によると、韓国免税店協会は5月末、「昨年12月に免税店事業権を新たに取得した新世界DF、現代デパート免税店、top cityの3社の営業開始日を来年に延期してほしいと関税庁に建議した」と明らかにしたのだ。
そんな中、韓国の免税店業界で「文在寅(ムン・ジェイン)新政権発足以降、韓中関係改善ムードが感じられる」と楽観論も出てきたという。
http://www.sankei.com/west/news/170629/wst1706290019-n1.html
http://www.sankei.com/west/news/170629/wst1706290019-n2.html
http://www.sankei.com/west/news/170629/wst1706290019-n3.html
http://www.sankei.com/west/news/170629/wst1706290019-n4.html
(>>2以降に続く)
http://www.sankei.com/images/news/170629/wst1706290019-p1.jpg
関西国際空港の第1ターミナルビルで営業するロッテ免税店
韓国国内の免税店を訪れる外国人客が前年に比べ半減するなど免税店事業をめぐる環境は深刻で、新羅免税店は訪韓日本人客確保のため「新羅インターネット免税店日本モール」のウエブサイトとモバイルアプリを開設したほど。
一方でこの年末に予定されていた新規の免税店オープンは相次いで延期される見通しで、一時「黄金の卵を産むガチョウ」と評された韓国の免税店事業も“風前のともしび”だ。
タイの市場開放策は渡りに船?
韓国免税店最大手のロッテ免税店が今月、タイの首都バンコクに市中免税店をオープンした。聯合ニュース(日本語電子版)など韓国メディアが報じている。
繁華街RCAにある韓流テーマのショッピングモールの2〜3階に展開。化粧品やファッションアイテム、電子機器、酒類、たばこなどの約300ブランドが入り、まずは現地ブランドの売り場から営業を開始し、下半期にグランドオープンするとしている。
今回のロッテをはじめとする韓国免税店のタイ進出の動きは、タイ政府が国内外の免税店の競争を促し、外国人客誘致を図るため、市場開放に前向きな姿勢に転じたことも背景にある。
ただその一方で、韓国側もTHAADの韓国配備に対する中国の報復で訪韓中国人客が激減する中、韓国国内の免税店店舗も苦戦を強いられていることから、海外店舗の拡充で競争力の強化を図る必要性を迫られていた。
ロッテはバンコク市内店を含め、海外で展開する店舗は7店となった。
免税店客半減で、日本にも頼らざるを得ない
韓国の免税店事業も、タイに頼らざるを得ないほど深刻な状況なのだろう。
韓国免税店協会が明らかにしたところによると、韓国国内の免税店を4月に訪れた外国人客は99万8000人で、3月の123万4600人に比べ19%減少したという。韓国紙、朝鮮日報(日本語電子版)が伝えている。
つまり、THAAD報復措置によって韓国を訪れる外国人客の半数を占める中国人客が急減した影響で100万人を切ったわけだ。1年前の183万人に比べると約半分で、中東呼吸器症候群(MERS)感染問題で訪韓客が急減した2015年7月以来の低い水準になった。
韓国側は東南アジアのタイだけでなく、日本にもすでに手を打っている。聯合ニュースによれば、新羅免税店は4月、韓国を訪れる日本人客のために「新羅インターネット免税店日本モール」のウェブサイトとモバイルアプリを開設した。
日本モールは、2014年に運営開始した中国モールに続く2番目の外国人を対象にするインターネット免税店で、「中国人がダメなら日本人を」という安易さがうかがえる。
新羅免税店は個人情報を登録する必要がなく、簡単な認証手続きだけで加入やログインが可能なSNS加入システムに日本で主流の無料対話アプリ「LINE」アカウントを追加するなど、日本の顧客向けに利便性を高めたとしている。
本当? 夏休みに中国が報復緩和
THAAD報復措置の影響は広がり、年末に予定されていた新規の免税店オープンが相次いで延期されることになりそうだ。
朝鮮日報によると、韓国免税店協会は5月末、「昨年12月に免税店事業権を新たに取得した新世界DF、現代デパート免税店、top cityの3社の営業開始日を来年に延期してほしいと関税庁に建議した」と明らかにしたのだ。
そんな中、韓国の免税店業界で「文在寅(ムン・ジェイン)新政権発足以降、韓中関係改善ムードが感じられる」と楽観論も出てきたという。
http://www.sankei.com/west/news/170629/wst1706290019-n1.html
http://www.sankei.com/west/news/170629/wst1706290019-n2.html
http://www.sankei.com/west/news/170629/wst1706290019-n3.html
http://www.sankei.com/west/news/170629/wst1706290019-n4.html
(>>2以降に続く)
http://www.sankei.com/images/news/170629/wst1706290019-p1.jpg
関西国際空港の第1ターミナルビルで営業するロッテ免税店