「中国側からは発表しないでほしいという要求があった」
異例なことにはそれなりの理由があるものだ。韓中通貨スワップ協定の話だ。期限を迎えた10月10日に延長交渉が合意に至ったが、韓国企画財政部(省に相当)と韓国銀行は3日後の13日になってはじめて国民に明らかにした。最近政府関係者に裏で何があったのかを聞いた。
「中国がスワップを延長してやるから発表はしないでほしいと言ってきた。どうしろというのか。対応に苦慮した末、すぐには発表せず、時間を置いた上で、記者団の質問に答える形で公表することで調整した。韓国側も苦労した」
企画財政部と韓銀は中国との約束を忠実に守った。当初の協定の期限が過ぎても口を固く閉ざした。3日後に主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するため、ワシントンを訪問していたキム・ドンヨン経済副首相と李柱烈(イ・ジュヨル)韓銀総裁が夜間に記者団に会うと通知してきた。正式な記者懇談会でもなく、様子がおかしかった。公式夕食会の途中に一度出てくるから、廊下で囲みで話をしようというのだった。現地時間12日午後9時半ごろだった。
重大な経済懸案であり、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題とも絡み、政治的意味合いも帯びた韓中通貨スワップ問題を記者団が尋ねた。待っていた質問であり、答えは準備されていた。2人は「期限の10日に中国側と最終合意し、翌日から発効した。1日も中断していない。形式は新規契約だが、実質的には延長されたに等しい」と答えた。当然「なぜすぐに発表しなかったのか」という質問が出た。李総裁は「技術的検討があったためだ」とやり過ごした。韓国時間は13日午前だった。韓銀職員は異例の動きをした。ワシントンから伝わった李総裁の発言にあえて「記者団の質問に答えた」という文言を付けようとした。
(中略:韓中通貨スワップの説明)
韓国政府関係者は「必ず実現させなければならなかった。中国人民銀行は政経分離原則という我々の主張に同意したが、THAAD問題での対立が起きていたため、スワップ延長に難色を示した。人民銀を助ける意味ですぐには発表しないことにっした。韓国側が配慮したと考えてもらってよい」と説明した。「発表をどうするかよりも、実益を確保することが重要ではないか」とも話した。確かにそうかもしれない。韓銀職員は今回のスワップ延長に向け、本当に努力したという。
それでもすっきりしない。経済交渉というものは本来そういうもので、何とか期限延長に成功したことは褒められるべきであり、3日程度の遅れは構わないと考えたとすれば困る。中国との通貨スワップが延長されるならば、政府が思い通りに国民の目と耳をだましてもよいと思ったとすれば困ったことだ。企画財政部と韓銀が勝手にやったことで、大統領府(青瓦台)は知らなかったとでもいうのだろうか。
もう一点指摘すべきだ。中国との関係に良からぬ前例を残したことだ。一見通貨スワップで利益を得て、功績を上げたように見えるが、「韓国は屈する国だ」という認識を中国に与えたことは誤りだ。たとえスワップが途絶えても、こんな低姿勢の交渉をすべきではないとの声が上がる。人民元の国際化を目指す中国は韓国との通貨スワップをそう簡単に放棄しなかったのではないかとの見方もある。
中国は大国であり、韓国はそれにはかなわない。次の交渉からどれほど頭を下げなければならないのか心配だ。頭を下げた次にはひざまずかなければならないかもしれない。最近読んだ本にこんな一節があった。「外交とは対等な立場で相手に対する信義と自身に対するプライドがなければ成り立たない」という言葉だ。
李陳錫(イ・ジンソク)論説委員
http://www.chosunonline.com/site/data/img_dir/2017/11/24/2017112401750_thumb.jpg
ソース:朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/11/24/2017112401750.html
異例なことにはそれなりの理由があるものだ。韓中通貨スワップ協定の話だ。期限を迎えた10月10日に延長交渉が合意に至ったが、韓国企画財政部(省に相当)と韓国銀行は3日後の13日になってはじめて国民に明らかにした。最近政府関係者に裏で何があったのかを聞いた。
「中国がスワップを延長してやるから発表はしないでほしいと言ってきた。どうしろというのか。対応に苦慮した末、すぐには発表せず、時間を置いた上で、記者団の質問に答える形で公表することで調整した。韓国側も苦労した」
企画財政部と韓銀は中国との約束を忠実に守った。当初の協定の期限が過ぎても口を固く閉ざした。3日後に主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するため、ワシントンを訪問していたキム・ドンヨン経済副首相と李柱烈(イ・ジュヨル)韓銀総裁が夜間に記者団に会うと通知してきた。正式な記者懇談会でもなく、様子がおかしかった。公式夕食会の途中に一度出てくるから、廊下で囲みで話をしようというのだった。現地時間12日午後9時半ごろだった。
重大な経済懸案であり、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題とも絡み、政治的意味合いも帯びた韓中通貨スワップ問題を記者団が尋ねた。待っていた質問であり、答えは準備されていた。2人は「期限の10日に中国側と最終合意し、翌日から発効した。1日も中断していない。形式は新規契約だが、実質的には延長されたに等しい」と答えた。当然「なぜすぐに発表しなかったのか」という質問が出た。李総裁は「技術的検討があったためだ」とやり過ごした。韓国時間は13日午前だった。韓銀職員は異例の動きをした。ワシントンから伝わった李総裁の発言にあえて「記者団の質問に答えた」という文言を付けようとした。
(中略:韓中通貨スワップの説明)
韓国政府関係者は「必ず実現させなければならなかった。中国人民銀行は政経分離原則という我々の主張に同意したが、THAAD問題での対立が起きていたため、スワップ延長に難色を示した。人民銀を助ける意味ですぐには発表しないことにっした。韓国側が配慮したと考えてもらってよい」と説明した。「発表をどうするかよりも、実益を確保することが重要ではないか」とも話した。確かにそうかもしれない。韓銀職員は今回のスワップ延長に向け、本当に努力したという。
それでもすっきりしない。経済交渉というものは本来そういうもので、何とか期限延長に成功したことは褒められるべきであり、3日程度の遅れは構わないと考えたとすれば困る。中国との通貨スワップが延長されるならば、政府が思い通りに国民の目と耳をだましてもよいと思ったとすれば困ったことだ。企画財政部と韓銀が勝手にやったことで、大統領府(青瓦台)は知らなかったとでもいうのだろうか。
もう一点指摘すべきだ。中国との関係に良からぬ前例を残したことだ。一見通貨スワップで利益を得て、功績を上げたように見えるが、「韓国は屈する国だ」という認識を中国に与えたことは誤りだ。たとえスワップが途絶えても、こんな低姿勢の交渉をすべきではないとの声が上がる。人民元の国際化を目指す中国は韓国との通貨スワップをそう簡単に放棄しなかったのではないかとの見方もある。
中国は大国であり、韓国はそれにはかなわない。次の交渉からどれほど頭を下げなければならないのか心配だ。頭を下げた次にはひざまずかなければならないかもしれない。最近読んだ本にこんな一節があった。「外交とは対等な立場で相手に対する信義と自身に対するプライドがなければ成り立たない」という言葉だ。
李陳錫(イ・ジンソク)論説委員
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ソース:朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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