6月22日からの週に入って中国・重慶の水害がいよいよひどいことになってきた。中国当局は80年に一度規模の大洪水だと警告を発している。
心配なのは、重慶を流れる長江の下流にある世界最大の水力発電ダム「三峡(さんきょう)ダム」(湖北省宜昌市三斗坪)の強度だ。中国水利部当局も「ブラックスワン」(起こる可能性は確率的に非常に低いが、起これば極めて大きな衝撃を引き起こす事象)に例えて強い懸念を示すほどだ。
すでに南部は折からの集中豪雨で水浸しになっている。中国中央気象台が6月24日に発表したところでは、6月に入ってすでに連続23日、暴雨警報を出しているという。24日も広い範囲にわたって「暴雨イエローアラート」が発令された。暴雨は貴州、広西、湖南、江西などで大規模洪水を引き起こし、さらに今後数日、集中豪雨が続くと予報されている。
今年(2020年)の洪水被害の被災都市はすでに26の省、自治区、直轄市におよび、被災者数は1122万人。長江沿いの湖北省の680のダム湖、安徽省の299のダム湖は制限水位を超えており、目下全力で放水による水位調節を行っているが、もはや洪水防止の役にはたっていない。安徽省の六安市などは村ごと水に沈んでいるところがいくつもある。
中国応急管理部は6月23日までに657.1万人に緊急避難を指示、21.3万人に対して緊急生活救助を行っている。だがすでに9300以上の家屋が倒壊し、17.1万以上の建物が損壊。農作物の被害は86.1万ヘクタールにおよび、直接的経済損失は241億元に上るという。
■重慶の住民「こんな大洪水はみたことがない」
中国メディアの報道を総合すると、重慶周辺における洪水被害が6月22日以降かなり深刻で、重慶市水文観測総合ステーションは 綦江(きこう)区に「洪水レッドアラート」を発令した。これは1940年このステーションができて以来初めてのレッドアラートだ。この日午後、重慶市 綦江は基準水位を5メートルほど超えた。
華僑系通信社中国新聞の記者が 綦江区をリポートしていたが、重慶都市部と 綦江区をつなぐ橋を警察が守備し、人や車両の交通を止め、両岸には警戒線が張られて、人が近づかないようにされていた。川沿いの土地はほとんど黄土色の濁流にのまれており、川から道路へあふれでた水はさらに居住区の建物内に絶え間なく浸水していているという。
重慶の多くの道路は冠水し、軌道交通は寸断され、 綦江濱江路一帯の建物店舗は浸水被害を受け、一部地域では土石流も発生していた。重慶は断崖に刻まれるように道路や商業ビルや集合住宅がたつ高低差のある都市開発が特徴だが、濁流が高所の道路からあふれて、瀑布のように崖下に流れおちる映像がツイッター上で拡散されている。
https://twitter.com/i/status/1275036188429045762
地域住民はこれを見て、「1998年以来、こんな大洪水はみたことがない。私たちは逃げることができたが、間に合わなかったらと思うとぞっとする」と恐怖を語っていた。
綦江城区の洪水の水位はアパートに2階くらいにまで来ている。空中撮影でみると、水面に信号のてっぺんがかろうじて見えているような報道写真もある。
重慶に隣接する貴州省の被害も深刻で、通信が不通となり、橋がいたるところで崩壊。水道電気、道路が寸断され、やはり土石流の危険に住民たちがおののいている。
■三峡ダムの洪水防止機能に疑問の声
そして今、地域の人々が非常に不安に思っているのは三峡ダムが、この大量の豪雨増水に耐えきれるのだろうか、ということだ。
中国湖北省衛星テレビが6月21日に報道したところによると、連日の豪雨の影響で、三峡ダムの水位が上昇、増水期の制限水位をすでに2メートル超えて147メートルに達したという。
2020.6.25
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61065
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61065?page=2
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61065?page=3
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61065?page=4
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61065?page=5
https://twitter.com/5chan_nel (5ch newer account)
心配なのは、重慶を流れる長江の下流にある世界最大の水力発電ダム「三峡(さんきょう)ダム」(湖北省宜昌市三斗坪)の強度だ。中国水利部当局も「ブラックスワン」(起こる可能性は確率的に非常に低いが、起これば極めて大きな衝撃を引き起こす事象)に例えて強い懸念を示すほどだ。
すでに南部は折からの集中豪雨で水浸しになっている。中国中央気象台が6月24日に発表したところでは、6月に入ってすでに連続23日、暴雨警報を出しているという。24日も広い範囲にわたって「暴雨イエローアラート」が発令された。暴雨は貴州、広西、湖南、江西などで大規模洪水を引き起こし、さらに今後数日、集中豪雨が続くと予報されている。
今年(2020年)の洪水被害の被災都市はすでに26の省、自治区、直轄市におよび、被災者数は1122万人。長江沿いの湖北省の680のダム湖、安徽省の299のダム湖は制限水位を超えており、目下全力で放水による水位調節を行っているが、もはや洪水防止の役にはたっていない。安徽省の六安市などは村ごと水に沈んでいるところがいくつもある。
中国応急管理部は6月23日までに657.1万人に緊急避難を指示、21.3万人に対して緊急生活救助を行っている。だがすでに9300以上の家屋が倒壊し、17.1万以上の建物が損壊。農作物の被害は86.1万ヘクタールにおよび、直接的経済損失は241億元に上るという。
■重慶の住民「こんな大洪水はみたことがない」
中国メディアの報道を総合すると、重慶周辺における洪水被害が6月22日以降かなり深刻で、重慶市水文観測総合ステーションは 綦江(きこう)区に「洪水レッドアラート」を発令した。これは1940年このステーションができて以来初めてのレッドアラートだ。この日午後、重慶市 綦江は基準水位を5メートルほど超えた。
華僑系通信社中国新聞の記者が 綦江区をリポートしていたが、重慶都市部と 綦江区をつなぐ橋を警察が守備し、人や車両の交通を止め、両岸には警戒線が張られて、人が近づかないようにされていた。川沿いの土地はほとんど黄土色の濁流にのまれており、川から道路へあふれでた水はさらに居住区の建物内に絶え間なく浸水していているという。
重慶の多くの道路は冠水し、軌道交通は寸断され、 綦江濱江路一帯の建物店舗は浸水被害を受け、一部地域では土石流も発生していた。重慶は断崖に刻まれるように道路や商業ビルや集合住宅がたつ高低差のある都市開発が特徴だが、濁流が高所の道路からあふれて、瀑布のように崖下に流れおちる映像がツイッター上で拡散されている。
https://twitter.com/i/status/1275036188429045762
地域住民はこれを見て、「1998年以来、こんな大洪水はみたことがない。私たちは逃げることができたが、間に合わなかったらと思うとぞっとする」と恐怖を語っていた。
綦江城区の洪水の水位はアパートに2階くらいにまで来ている。空中撮影でみると、水面に信号のてっぺんがかろうじて見えているような報道写真もある。
重慶に隣接する貴州省の被害も深刻で、通信が不通となり、橋がいたるところで崩壊。水道電気、道路が寸断され、やはり土石流の危険に住民たちがおののいている。
■三峡ダムの洪水防止機能に疑問の声
そして今、地域の人々が非常に不安に思っているのは三峡ダムが、この大量の豪雨増水に耐えきれるのだろうか、ということだ。
中国湖北省衛星テレビが6月21日に報道したところによると、連日の豪雨の影響で、三峡ダムの水位が上昇、増水期の制限水位をすでに2メートル超えて147メートルに達したという。
2020.6.25
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61065
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61065?page=2
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61065?page=3
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61065?page=4
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61065?page=5
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