>>61
私もホロヴィッツの生は1986年来日公演で聴いた。
録音では金属的に聞こえていたピアノの音が生では全く違う美しい音であった。
弱音でのマシュマロのような柔らかさと例えようがない程の美しい音が印象深いが、
ffが全開したスクリャービンのエチュードでも録音では金属的にガンガン聞こえるあの響きが生では煌めく艶と丸みを帯びた音であったのにビックリした。
ホロヴィッツの生の音は録音で想像していたのと全く違うものだったのでビックリしてしまった。
演奏の内容も素晴らしかったが、ピアノという楽器からそれまで聴いた事が無い素晴らしく美しい音と響きに驚嘆した。
私が聴きに行ったリサイタルは後日NHK-FMで放送されたが、放送を聴いてみると生とは全く違う音で、それまで聴いていたレコード録音と同じ質感の音であった。
ホロヴィッツの音は録音だと変質してしまう事を痛感した。
生で聴いたホロヴィッツは私にとってピアノという楽器の概念を根底から変えられてしまった凄い体験であった。