じゃあ個人体験談として長々と。知ってる人にとっては「何を今さら」みたいな話。
高いポテンシャルを本来持っている楽器ならば弾きこんでいくと明らかに音は良くなりますね。
音量、音質の両面で。
楽器の音の開き方を何度か経験して(だいたいは数年単位かかりますが早ければ2〜3年ほど、5年も過ぎると誰でも聴いた人が分かるレベルで変わりはじめます)
ほぐれ方の、この進行パターンが分かってくると今度は新作を試奏した時点でこれは良くなるものか、そうでない個体なのかも、初めからかなりの見当がつくようになってきます。
音質かなり変化していきますが、松と杉では少し違う変化がある。
両方に共通するのは新品時よりも次第に倍音が整理されて雑味が自然に減っていき澄んだよく通る音になっていきます。
低音が深みを増して良く出るようになり逆に高音は伸びやかに抜けてきます。
和音の分離もよくなり立体的になり音楽の説得力が増します。
松は最初からあまりに鳴るものだと「よく鳴ってる」などと思って喜んで購入したものの、弾きこむうちに音が緩み過ぎて数年後には逆にボワンボワンと芯のない、つまらない音になってしまうものがある。必ずしも良い方向だけに変わるとは限らないです。
それを計算に入れて、あえて固めキツめに音を仕上げておくルシアーは少なくないです。
最初から鳴らない楽器は客の店頭ウケが悪いので楽器店は嫌がったりするところもあるけれど、頑固な製作家はこの点の作り方を絶対譲らなかったりして(プロ向きの楽器になると特にそう)、そういう駆け引きまでありますね。
そうするとスプルースの音が開いてきた時には芯と太さのバランスが丁度よい音質になる。
スプルースは杉より時間かかるけれど良くなりはじめると繊細で奥深い音色が期待できる。
杉は最初から音量面では鳴るし、すぐ使えるので即戦力にはなります。
音質は始めは倍音豊かで甘く太く若々しい音(← これはこれで漬物の浅漬けみたいで自分は好きです)経年すると次第に全体の荒々しさが落ち着いていく印象で、やはり低音が増し、中音域の彫りが深くなり、杉の甘さと同時に高音は輝かしい音になってくる。
ジョン・ウィリアムスは杉の経年の様子を「セトルダウンしていく」と確か表現してた気がするけれどホントそんな印象です。