アメリカで激しくなっている「中国排除」の実態
教育機関や留学生まで「標的」に
東洋経済 繻エ 響子 : 未来工学研究所研究員
2019/06/20 5:20
https://toyokeizai.net/articles/-/287617

アメリカでは急激に「中国締め出し」が加速している(写真:Jason Lee/ロイター)
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アメリカでは急激に「中国締め出し」が加速している(写真:Jason Lee/ロイター)
アメリカにおける「中国排除」の動きが加速している。目下、華為技術(ファーウェイ)など中国製品を市場から
締め出そうとしているが、それは市場原理ではなく、安全保障上の理由として法律を用い、国を挙げて中国を締め出そうとしている。

この動きは、中国の世論工作やプロパガンダ活動、スパイ活動、サイバー攻撃といった「シャープパワー」に対
するアメリカの危機感の表れである。2018年8月に成立した「国防権限法2019」は、アメリカの中国強硬策が色濃く表
される内容となった。アメリカの政府機関はファーウェイや中興通訊(ZTE)、その関連会社との取引を禁じているだけで
なく、中国と関係を持つ大学に対しても警鐘を鳴らしている。

●次々と閉鎖している「孔子学院」

中でも“敵視”されているのが、「孔子学院」だ。孔子学院は、中国政府の中国語教育機関であり、全米の
大学内などに設置されている。この孔子学院の活動が、近年「スパイ活動」と批難され、締め出しの動きが強まってきているのだ。

孔子学院は、現在世界で548校設置され、そのうち約20%の105校がアメリカに集中している(2019年5月時点)。
これは、アメリカ国内における中国語需要の高さを示すものであるが、一方で、中国がアメリカに対する働きか
けをいかに重要視しているかをうかがわせるものでもある。

が、ここへきて同院の閉鎖が加速。最盛期には、全米に120校あったのが次第に減少し、今年に入って、マサチューセ
ッツ大学ボストン校、ミネソタ大学、モンタナ大学、オレゴン大学など、6月時点ですでに10校に上る孔子学院の閉鎖が決まった。

共和党のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)も孔子学院閉鎖に躍起な1人だ。例えば北フロリダ大学に対し、孔子学
.院との契約打ち切りを要請し、そのうえで「他大学も追随するように」と要望したという。同大学は、本年2月の閉鎖を2018年8月に決定した。

アメリカで孔子学院が急速に増えた背景には、アメリカの大学の経営状態悪化が挙げられる。中国政府が資金提供をす

るため、大学側の自己負担なく中国語教育が提供できる機関として、アメリカの大学では2005年ごろから相次いで孔子学
院の設置を進めたのである。

しかし、2014年に入ると風向きが変わった。孔子学院の教育内容をめぐって、思想宣伝や政治宣伝を懸念する声が出始め

、「中国政府の政治宣伝機関だ」とか、「学問の自由に反する」などといった批判が広まった。アメリカ大学教授協会(AAUP
.)なども大学側に、状況に応じては孔子学院との契約打ち切りを促すようになった。

こうした中、いよいよアメリカでは、中国共産党によるスパイ活動容疑で孔子学院が連邦捜査局(FB)の捜査対象になるという事態に
まで発展。前述の「国防権限法2019」には、孔子学院を設立する大学への資金支援の停止を求める条項も盛り込まれており、アメ
リカの法律もが、孔子学院を名指しで批判したのだ。

●設置した大学にも「資金援助

●アメリカで活発に世論作り

●日本も「選択」迫られる

が、ここへきて同院の閉鎖が加速。最盛期には、全米に120校あったのが次第に減少し、今年に入って、マサチューセ
ッツ大学ボストン校、ミネソタ大学、モンタナ大学、オレゴン大学など、6月時点ですでに10校に上る孔子学院の閉鎖が決まった。

共和党のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)も孔子学院閉鎖に躍起な1人だ。例えば北フロリダ大学に対し、孔子学
.院との契約打ち切りを要請し、そのうえで「他大学も追随するように」と要望したという。同大学は、本年2月の閉鎖を2018年8月に決定した

アメリカで孔子学院が急速に増えた背景には、アメリカの大学の経営状態悪化が挙げられる。中国政府が資金提供をす