〜以下LEDスレの基本知識のまとめや〜
みんなよくルーメン(lm)ルーメンって言うやろ?このLEDはルーメンがいくつやからいい照明や!とかこっちのほうがルーメンが高いから水草が育つ!とか
たしかにルーメン(光束)が高い=明るい照明だというのはその通りなんやが、ここでいう明るいというのは「人間の目から見て」であることに注意や
人間の目はすべての色を同じように感知できるわけやなくて、波長によって感知しやすい色としにくい色があるんや
例えば赤、緑、青それぞれの照明があったとして、これらの純粋な物理量(光子の数)が同じだった場合、ルーメンは緑がずば抜けて高く赤と青はずっと低い数値になる
なぜかというと人間の目は緑色の波長を最も感知しやすく、赤と青は感知しにくいからや 青450nmの光子1000個の(人間が感じる)明るさ=緑555nmの光子38個の明るさで、赤700nmの光子1000個の明るさ=緑555nmの光子4個の明るさや
つまり光束というのは純粋な物理量を表す単位ではなく、あくまで人間が感じることのできる明るさの単位でしかないということなんや

これが水草を育てるうえで過信できないのは、人間の目に見える明るさ≠植物が光合成に必要とする光の強さだからや
光束は人間の目で感知しやすい色の波長にエネルギーを集中させれば簡単に高くすることができるけど、それは植物が必要としてる光であるとは限らないからやね
実際のところ日常的に使われてる白色LEDの多くは人間に感知しやすい黄色の波長と青の波長を混ぜて高効率の白色を作ってるんや
言い換えれば発光効率(lm/W)の高いLEDというのは波長的には偏った(植物にとっては)低質な光であると言えるかもしれないんや
ちなみに発光効率の最高値は683lm/Wで、これは(明るい場所では)555nmの単色光源のときのみ実現できるんや
逆説的には高価格帯の水草用LEDにありがちな消費電力の割に全光束(lm)が低い照明というのは、人間の目からは感知しにくいが植物にとっては必要な波長の光を多く含んでいるからなんや

では実際にどのLEDが水草の成長にとっていいのかを判断するには何を見ればいいかというと、それはPARや
PARは「photosynthetically available radiation」の略で、植物が光合成に使える400nm-700nmの光がどこにどの程度あるのかを表したものや(単位はmicro-mols per second=Umol/s)
https://i.imgur.com/ZGTVV6H.jpg


例えば上の画像は左の軸が水深を、下の軸が横方向の距離を表していて、それぞれの地点におけるPARを示したものや
照明から下方向に18インチ(約45cm)、横方向に9インチ(約23cm)の場所のPARは56Umol/sだと読み取れるわけやな
ちなみにPARはどれくらいあればいいのかというと、
15-30 弱光
30-50 中光
50-80 強光
80> すごい強い
これが一つの目安や
当然水草によって要求される量は変わるわけやが、グロッソのような強光を必要とする水草では50Umol/s以上のPARがあることが望ましいわけやな
もちろんこれは一つの目安であって、必ずしもこれだけのPARがないと育たないというわけやないで CO2や肥料なんかも大きく関係してくるからな
実際メタハラ時代のADAギャラリーを調査したところ、ほとんどの水槽は低床部では35-40Umol/sしかなかったにもかかわらず前景草は綺麗に育っていたことが確認されているんや
そして80Umol/s以上のPARを確保する意味もあまりないことが分かっているんや これ以上のPARで変化するのは成長する早さだけで、言い換えればトリミングの頻度は多くなるし苔が発生するリスクも高くなる
つまり水槽の底面において50-80Umols程度のPARを確保できるLEDを選ぶことが、水草を十分に成長させつつも頻繁なトリミングを必要としない維持しやすい水槽を作るコツになるわけや
残念ながら国内のLEDメーカーでPARデータを公開しているところはほとんど皆無でこれらのデータを探すことは難しい状況や(ADAなど海外でも有名な製品は有志によって分析されていたりもする)
それも日本のLEDが遅れていると言わざるを得ない理由の一つであり、海外製品のほうが信頼性が高くなっている根拠でもあるんや