【グッバイ・クルエル・ワールド】とゆうタイトルはエルヴィス・コステロのアルバムから頂いたのかな。

確かに作りとしてはタランティーノっぽい漫画チックなバイオレンスに映るが、本質にあるのは東洋的な無常観のように思う。結構好きですね、この映画。

そもそも西島秀俊演じる役が元ヤクザなら、暴力団の金を奪う事の危険性は認識しているはずだから強盗団に手を貸すはずは無いのだが、そんな基本設定に穴がある脚本を勢いで推してゆく役者陣の好演がたまらなく良い。

西島秀俊、大森南朋、三浦友和、斎藤工、片岡礼子らベテラン中堅俳優らは安定の芝居なのだが、新鮮だったのは宮沢氷魚と玉城ティナ。

宮沢氷魚の表情が良いですね、何かを悟っているかのような顔つき。

玉城ティナの風俗嬢も危険な感じが凄く良い。

地獄のような日常から誰もが抜け出したくて、もがき苦しみながら前に進もうとするが、所詮は修羅の道でしか生きられない人間達ばかりなのだ。

暴対法以降の元ヤクザの社会復帰に関しては昨年の【すばらしき世界】【ヤクザと家族】でも描かれていたが、映画のテーマとしては最適なのかもしれませんね。敵同士であっても結局は同じ穴のムジナと笑い合う西島秀俊と大森南朋が哀しい…。