大切な人が亡くなった時
わたし達はどうするか

なにが大丈夫なのか?
前に進まなきゃいけないのか
乗り越えなきゃいけないのか

誰しもが正しい受け容れ方ができるわけじゃない

間違いが間違いなのかもわからないし、来た道を行ったり来たり、その混乱が生々しい

破壊と復讐に心を燃やすも虚しく、愛する者のためできるのは、ただ、ただ涙を流すことだけ
風の中、光の中に、“彼“を見つける事だけができる



ヒーロー映画という枠組みの中で描かれるヒーローの不在
わたし達は観る前なにを期待していたか
次の継承者は誰か?
ワカンダの行く先は?
各国の思惑と同じく、そんな大きな物語を期待していたが、そこに在るのは個々人の喪失
残された者たちの営みだ
継承などない
ヒーローなどいない

愛する兄の後ろで、あんなにお茶目だったシュリの笑顔はどこにいったか
混乱と重圧に晒された、悲しき161分の咆哮の果て、美しい浜辺でシュリは目を閉じた。そうして彼女はティ・チャラの存在を感じる。私たちの目頭にも、じんわりと「彼」の存在が浮かび上がる。


わたし達は何を受け取ったのか
このヒーローなきヒーロー映画で