社会からあぶれた者たちが欲望のままに人を喰らい、本能のままに互いを求め、共に旅を重ねる中で魂を慰め合っていく。相容れない他者や脅威、孤独に飲まれそうになった時に、彼らは何を軸に人生を選択していくのか。刹那的瞬間瞬間に下す言動にその答えが宿る。

恍惚で物憂げなティモシーが、表情と存在感で人生の憂いを語る。陰影がエロス。

ゲイのクルージングもサラッと登場、原作がヤングアダルト小説よろしく、家庭内のしんどい事情も赤裸々に描かれる。そこに縛られず外へ外へ、拒絶からの解放に向かうのがよい。

同族を嗅覚で察知するの、日本語でも「(同族嫌悪的に)同じ匂いがする」という言い方するので、あれは絶妙な描写だと感じた。

マーク・ライランスのラストの展開、何となく頭に浮かんだのは「溺れるナイフ」だった。

タイトル回収も、ああ、なるほど腑に落ちた(が展開に納得したわけではない)