一方、ゴーン前会長は日産にとってルノーからの独立性を保つ「防波堤」という側面もあった。

資本提携の翌年に、ルノーから水面下で経営統合を打診された際には、

効果が小さいとする報告書を用意して強硬に反対したという。

15年ごろから仏政府がルノーを通じて日産への関与を強めようとすると

「仏政府がルノーの株主にとどまる限り

日産はいかなる資本構成の移動も受け入れない」と猛反発した。

だが、今年2月にルノーCEO再任の方向が決まってからは統合を否定しなくなった。

ゴーン前会長は逮捕される直前、ルノーと日産の統合を画策していたとも報じられている。

事実なら日産にとってゴーン前会長の役割は終わったとも言える。

20年弱に及んだワンマン支配。ゴーン前会長とともに代表取締役として

経営を担った経験のあるOBは「当初は彼をルノーの回し者とみなしていた。

しかし、私的な野心や利益のためだったとはいえ、

必死に日産を大きくした姿には感謝している面もある」と複雑な心境を語る。

そしてこう自戒した。

「日産は自分たちの運命を自分たちで決められない会社にしてしまった。

責任は私たち歴代経営陣にある」