ソフトバンクグループは21日、国内通信子会社ソフトバンク株の5%に当たる
2億4000万株を売却すると発表した。
自社株買いと負債削減を目的とした、4兆5000億円の資産売却計画の一環。

条件規定書によると、想定売却価格は1株1306.5−1320円。
21日終値(1375円)に対する割引率は4−5%で、売却額は最大で約3200億円となる。

譲渡後の保有比率は62%となり、企業の合併・買収(M&A)など
株主総会での特別決議で、必要な3分の2を下回る。受け渡し完了は26日の予定。
主幹事はクレディ・スイスとゴールドマン・サックスが務める。

今回の売却は、法人所得税の押し下げ効果があり、純利益にプラスに働くという。
ソフトバンクG広報担当は、「ディスカウントなど条件や引き受け金融機関、
投資家の属性についてはコメントを控える」としている。

2020年3月期に、巨額赤字を計上したソフトバンクGは、資産売却計画を3月に公表。
保有するアリババ・グループ・ホールディング株を使い
1兆2000億円を調達すると既に発表していた。新型コロナウイルスの影響から、

運営するビジョン・ファンドは、なお損失が拡大する恐れもあり、
手元資金の確保が、喫緊の経営課題だった。

しんきんアセットマネジメント投信の運用部長は、ソフトバンクGの保有比率が
3分の2以下になったことについて「強権の発動はしにくくなるが、
今の関係性からそれほど大きな影響はないとの判断があったのではないか」と指摘した。

社長は18日にオンラインで行った決算会見で、ビジョン・ファンドの投資先のうち、
15社程度が今後倒産する可能性を示唆した上で、
現状は「現金を手元に持つために、資産の切り売りをしている」と説明した。

関係者への取材によると、ソフトバンクGは、アリババやソフトバンク株のほか、
傘下のTモバイルUSの株式を売却することを検討しており、週内にも発表される可能性がある。