オリンピック中止の声は、過半数を超えている。

ここで感染拡大を抑え込まねば、来夏の東京五輪・パラリンピックの開催にも影響が出かねない。

経済への打撃も深刻になるだろう――。

業を煮やしたメンバーは、首相が最重視する東京大会へのそんな見方を伝えた。

分科会からの強いメッセージを受け、政府は20日夜から急きょ対応に動いた。

官邸幹部は「あれだけ専門家から言われたら無視できない」と話す。

とはいえ、経済重視の政権の姿勢が大きく変わったわけではない。

政府はこれまで、感染拡大の要因は会食などマスクを外す場での行動であり、

人の移動ではないと繰り返してきた。首相周辺は「Go Toを見直すかどうかは知事の判断。

国として事業を止めるわけではない」と述べ、従来の主張と齟齬(そご)はないと説明。

「Go Toの失敗」と追及されないよう予防線を張った。政府対応の場当たり感も否めない。

政府が見直し方針を打ち出したのは3連休の初日だ。行楽地はすでに観光客でにぎわう。

「Go To」見直しの具体的な制度設計もこれからで、
いつからどのような効果が期待できるかは不透明だ。

対策本部後、首相は記者団に「Go To」を一時停止すると重ねて説明。

ただ、「タイミングは遅くなかったのか」「一時停止はいつから始まるのか」
などと問われても答えることはなく、すぐに背を向けその場を後にした。