日本の製造業のトップバッターは自動車だ。

自動車産業は62兆円の規模があるが、航空機産業は1兆8000億円にすぎない。

しかし、自動車は電気自動車などエンジンを使わないクルマが徐々に増え、製造方法が

容易になって、コストの安い途上国に生産の中心が移ってしまうのではという危機感があった。

そこで政府は、日本初のジェット旅客機開発となるスペースジェットに

計508億円(08〜15年)の補助金を投じている。その内訳はこれまであまり報じられなかったが、

一般会計から、空力特性に関する研究に212億円
▽航空機の故障を事前に予知するシステムの研究に3億円が使われた。

その他に、エネルギー対策特別会計から、炭素繊維複合材の成形方法に関する研究に70億円。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から、電気信号で可変翼を
コントロールする操縦システム「フライ・バイ・ワイヤー」の研究に223億円−−となっている。

これらは、航空機がいずれ日本の主要な製造業に発展するという期待で投じられた。

開始から12年がたち、いまだ型式証明が取れないのは、期待に応えられなかった

三菱重工の責任だが、東京大学未来ビジョン研究センターの特任教授(航空工学)は

「いまは三菱重工も苦しいだろうが、将来を考えると、しっかりと型式証明を取り、

コロナが収まった先に備えてほしい」と話す。