3の要件は「権利侵害の明白性」と呼ばれるもので、さらに二つの要件に別れます。

一つは、実際に権利侵害が事実であること。
つまり、今回では助さんが実際に泉谷しげるのバンドに誘われた事実があることが要件になります。

もう一つは、違法性阻却事由となる事情が存在しないことです。
これも前に話しましたがその誹謗中傷に公益性があったのか無かったのかということです。

さて、このプロバイダ責任制限法で助さん側の急所となるのが、挙証責任の転換という仕組です。通常の不法行為に基づく損害賠償請求では、違法性阻却事由について助さん側で立証する必要はありませんが、この制度による情報開示請求では、情報を開示される側(書き込んだ側:カメラマンさん)はプライバシーや表現の自由が侵害されることから、挙証責任の転換が行われることになり、書き込みに公益性が無かったこと、つまり泉谷しげる側に迷惑を書けていないことを助さん自ら立証する責任が生じるのです。