以上の3つの他にも要件はありますが、重要なものをもう一つだけお話しましょう。

4 正当な理由の存在が必要
これは、簡単に言うと、開示を請求したんだったら、それだけじゃなくて合わせて損害賠償請求とかの訴訟をやれよ!ということです。
開示して相手の情報を知って終わりだと、私的制裁など不当な目的のために利用されるおそれがあり、終局的な解決につながりません。また、すでに示談が成立しているなど解決済みと見なされる場合は、開示の必要性がなくなっているため、開示は認められません。

ここでポイントですが、プロバイダ責任制限法開示請求は、損害賠償請求等に付随する訴訟手続きだということで、訴訟にかかる費用も開示請求と損害賠償請求は「別に」かかります。
相場として、開示請求では着手金20万円から40万円、開示が認められた場合の報酬金が同額くらいで、日当や必要経費が請求されることもあるため、60万円から100万円くらい弁護士費用がかかります。
これは、あくまで開示請求だけの費用で、損害賠償請求では別にまた着手金や報酬金等がかかります。
単純に2倍して200万円かかったとして、損害賠償を200万円とれないと赤字です。
助さんのアーティストとしての活動実績(1円も稼いでいないのでは?)や誹謗中傷で生じた損害(生命・身体・財産に異常無し)からして200万円を認められることは無いでしょう。
填補賠償と言って、実際に生じた損害の分だけしか賠償責任は生じないのです。
10万円とれたらラッキーです。
また請求が棄却されたら、報酬金以外は丸々弁護士に支払うことになります。
相手方の裁判所費用も負担することになります。
参考までに、訴訟に勝っても自分の「弁護士費用」を相手方に負担させることは「できません!」