歳をとってからバレエに取り組むこと、しかもかなり真剣に取り組むことは、徒労のように思えがちだ。
しかし、もしそれが徒労だとしたら、人生そのものも徒労だと言いたくなる。
人生とは、徒労のように見えることを果敢に継続することにあると私は思う。
そう思うとき、いつも思い出すのは、アルベール・カミュの「シーシュポスの神話」という本である。
その本についての簡単な解説のうちの一節をここに抜粋する。
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シーシュポスは神々の怒りを買ってしまい、大きな岩を山頂に押して運ぶという罰を受けた。
彼は神々の言い付け通りに岩を運ぶのだが、山頂に運び終えたその瞬間に岩は転がり落ちてしまう。
同じ動作を何度繰り返しても、結局は同じ結果にしかならないのだった。
カミュはここで、人は皆いずれは死んで全ては水泡に帰す事を承知しているにも拘わらず、
それでも生き続ける人間の姿を、そして人類全体の運命を描き出した。
(Wikipedia の「シーシュポスの神話」の項目より)