「人生とはこうも、悲しいものなのか」とノートに残し衰弱死した56歳引きこもり男性 深刻化する8050問題
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「ひきこもり死」を防げるか――高齢親失った中高年「8050問題」最終章
https://news.yahoo.co.jp/feature/1846
2年前の冬のことだった。取材班は、あるひきこもり男性の死に直面した。

神奈川県横須賀市に暮らす56歳の男性は、10年前に両親が死亡した後、自宅に一人取り残され、貯蓄を切り崩しながら暮らしていた。
ガスや水道は止まり、家屋の外壁は朝顔のつるで覆い隠され、庭先はゴミであふれていた。市の福祉職員は支援の必要性を感じ、訪問を続けていた。56歳男性はこう話していたという。

「いざという時にお金がないと困るので、なるべく使わないようにしている」

やがて男性は、職員が訪問しても顔を出さなくなった。職員が警察と一緒に踏みこんだところ、男性はゴミに埋もれた状況で亡くなっていた。
栄養失調による衰弱死。1月初旬、冷えこみの厳しい日のことだった――。

56歳男性の名は「伸一さん」という。

伸一さんは、高校卒業後、英語を使った仕事に就きたいと英文科を目指して大学受験に取り組んだ。
やがて進学を諦め、ハローワークで仕事を探し始める。非正規で複数の職場を渡り歩いたのち、診療所の医療事務で正規採用される。
覚えなければならないことも多く、伸一さんは深夜まで残業する日々を送っていた。

結局、伸一さんは職場を去る。その後、再就職に苦戦。心のバランスを崩し、30年以上にわたりひきこもることになっていくのだった。
この間、伸一さんは何を考えていたのか。部屋から見つかった遺品に目を凝らしていくと、本人はこの生活から抜け出したいと願っていたことがわかった。

ノートには、英文法を勉強していた証拠が残されていた。痕跡は亡くなる直前まで続いている。
あるページには「ハローワーク」「申し込み締め切り」などの文字が残されていた。
最期まで、伸一さんは仕事を見つけたいという意思を持っていたことがうかがえた。しかし、それがかなうことはなかった。
ノートの最後のページには、こう書き残されている。

「人生とはこうも、悲しいものなのか。悲しみに、満ちているものなのか」