甦った永遠の少年、明日海エドガー降臨、ミュージカル「ポーの一族」開幕

明日海りおが、永遠の少年エドガーに扮して当たり役とした2018年の花組公演、ミュージカル・ゴシック「ポーの一族」(小池修一郎脚本、演出)が、明日海の退団後初舞台として甦り、11日、梅田芸術劇場メインホールで開幕した。10日に舞台稽古が公開されたが、写真撮影禁止、公演評も14日解禁という厳しい規制があり、やっとアップしたが、これが宝塚版を忘れさせるような見事な出来栄え、初日に観劇した原作者の萩尾望都氏も「より原作に近くなった」と大満足だったという。

「ポー―」は「ベルサイユのばら」より前の1972年に萩尾氏が発表、少女漫画の枠を超えて今なお愛されている伝説的名作。バンパイアブームの先駆的作品ともいわれる。演出の小池氏が宝塚歌劇団入団前から温めていた題材で、2018年の初演では構想40年と話題になった。花組トップだった明日海が、永遠に生き続けなければいけなくなった少年エドガーという彼女にしか演じられない役柄に恵まれて代表作としたのは記憶に新しいところ。2019年に惜しまれて退団した明日海の退団後初舞台として再び「ポーの一族」が決まったのは、さまざまな偶然と運が重なり合ってのことだが、製作スタッフのもう一度見たいという熱意が実現に至らせた大きなファクターになったことは確かだ。

舞台はそんなスタッフの思いがそのまま表れた熱い舞台で、1964年、3人のバンパネラ研究家がフランクフルト空港に降り立つ場面から始まるという序章から宝塚版を踏襲、以後もほぼ同じ展開ながら、仕上がった舞台は全くテイストの異なる本格的なミュージカルとなった。