昭和の時代には農村こそ貧困そのもので、都市は元々恵まれており、
しかもほっておけば成長して豊かになる環境だったので、誰もが都会を目指した。
それは分かる。だから田中角栄は農村の発展に有利になるように税の仕組みを作った。
日本が土建国家として無駄な地方に道路を作り続けるきっかけとなった道路特定財源も、
田舎に行けばアスファルト舗装の道路さえほとんどなく橋が木でできていた昭和の時代には画期的なシステムだったと思う。
田中角栄は天才である。
しかし、2018年にさすがにそれは通用しない。田中式自民党政治は、
現政権には健在で、第二次安倍政権以降整備新幹線の開通がやたら多い。
田中を慕った小沢一郎氏の存在もあって旧民主党政権にもそうした要素が少なからずあった。
いい加減にしろと思っているのは都市住民である。
自分が中産階級でも金持ちでも都市型現代貧困の当事者でも関係なく、
自分たちの税は自分たちの都市問題の解決のために使うべきだと誰もが思っている。
田中がもし平成時代の東京出身者で池袋の路地裏や八王子の郊外とかで都市問題を見て育っていたなら、
間違いなく都市交付税を作ったはずだ。

この30年間の日本を振り返ってほしい。
昭和と比べて農村部や離島などは、変に都会化はしなかったが、代わりに少子高齢化や空き家が増えてしまった。
廃村も多いだろう。都会も絶対に繁栄ではなくなったことはすでにふれた。
30年間で肥えたのは地方都市ばかりである。新潟市のようなでっち上げ政令市を筆頭とした、県庁所在地のような地方都市。
地方区分でいえば北関東や京奈和・・・そういう場所ばかり、
本来の身の丈を度外視した過剰なバイパス道路、高速道路、高架式新幹線ターミナル駅、ロードサイドチェーンストア街、ハコモノばかりになっている。
地方都市のロードサイド住宅街は東京から左遷された会社員でなければ、
県内の農村部から上ってきた人がたいてい住んでいる。地方都市は農村を核実に搾取している。地方都市の存在は悪なのだ。