アフリカのある国でSARS-CoV-2による死者数が少ないという謎

アフリカで最も早い時期に行われた大規模なSARS-CoV-2抗体調査の1つは、ケニアでは2020年半ばまでに人口の4%がこのウイルスに感染していたことを示唆している。ケニアのCOVID-19による死者数の少なさを考えると、驚くほど高い感染率である。

SARS-CoV-2に対する抗体の存在は、ウイルスへの感染歴があることを示している。KEMRI-ウェルカム・トラスト研究プログラム(ケニア・キリフィ)のSophie Uyogaらは、2020年4月下旬〜6月中旬にケニアで献血された血液検体中のこうした抗体を検索した(S. Uyoga et al. Science https://doi.org/fhsx; 2020)。研究チームはこれらの検体に基づき、ケニアの人口の4.3%にSARS-CoV-2感染の既往歴があると推定した。

研究チームが見積もったケニアでの抗体陽性率は、以前見積もられたスペインでの抗体陽性率に近い数字である。しかし、スペインで7月上旬までに2万8000人以上がCOVID-19で死亡していたのに対し、ケニアの同月末までの死亡者数は341人にとどまっていた。著者らは、ケニアの抗体陽性率とCOVID-19による死亡者数の間の「鋭いコントラスト」は、アフリカでコロナウイルスの作用が弱まっている可能性を示唆するとしている。