「安倍自民親衛隊」の「産経新聞」も、とうとう稲田朋美に匙を投げました。

<30日付の「産経新聞」朝刊コラム「産経抄」>

 時代小説作家の池波正太郎さんは当初、現代ものも書いていた。発足したばかりの航空自衛隊をテーマにした『自衛隊ジェット・パイロット』も、その一つである。

 ▼当時のパイロットは、器材も施設もすべてが不足する劣悪な環境で、訓練を強いられていた。夜間訓練の途中で殉職した部下の遺体をさすりながら、上司がつぶやく。
「国民の強い批判を受けながら、足りない予算で我々は飛ばなきゃならん」。自衛隊の苦難はその後も続いた。

 ▼昨年2月、小紙の「談話室」で見つけた元自衛官の男性の投稿が記憶に残る。男性が防衛大学校の学生だった昭和50年代はまだ、自衛隊への世間の風当たりは厳しかった。
制服姿で街を歩くと「税金泥棒」と罵声を浴びることもあった。ところが最近、防大生が一般市民と一緒に成人式に出席する光景を見て、隔世の感があるというのだ。

 ▼確かに、災害派遣や国際貢献活動によって、自衛隊への理解が深まった。何より万一の有事に備えて訓練に励む隊員に、国民は厚い信頼を寄せている。
「確固とした安全保障戦略をもつ大人の国への第一歩だ」。平成19年1月、旧防衛庁が省への昇格を果たしたとき、コラムにこう書いた。

 ▼あれから10年、トップを務めているのは、「お子さま」のような政治家だった。「防衛省・自衛隊としてもお願いしたい」。都議選の自民党候補の応援で、耳を疑うような発言を行った稲田朋美防衛相である。

 ▼これまでも資質を疑うような行動がしばしば見られた。自衛隊の中立性に関わる今回の失言は、とりわけ罪が重い。撤回で済む問題ではない。
逆風にさらされる自民候補は、頭を抱えている。もちろん、一番情けない思いをしているのは現場の自衛官である。

http://www.sankei.com/column/news/170630/clm1706300003-n1.html