財界とはなにか、なにをねらっているか
――財界の政治支配を問う

 自民か民主かという政権選択がふきあれた総選挙のなかで、実は、この二大政党制の実現を誰よりも願い、実際にその実現のために動き回ったのが財界だったということがあかるみになりました。
 財界が狙っている二大政党制というのは、財界のいうことを聞く二つの保守政党をつくって、
仮に一方の政権がスキャンダルや失政によって世論の支持を失い、政権が交代したとしても、自分たちの要求が、別の政党による政権によってもつらぬかれるしくみをつくるというものです。

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 二大政党制という枠組みづくりと、金で政党を支援するという二つしかけをうちだし、それをテコにして、民主党への強力な働きかけがおこなわれました。
財界がシナリオを書いて、金を出して、仲人役までやって、民主党と自由党を合併させたことは、関西財界の稲盛和夫氏(京セラ名誉会長)
自身が菅直人民主党代表、小沢一郎自由党党首と直接会い「必死に説得した」(『アエラ』十一月十日号)と告白しています。
 さらに総選挙直前の段階では、新しい民主党と自民党にどっちが財界の要求に忠実なのかを競い合わせました。

自民党にしてみれば、これまではあまり財界の要求を露骨にのんだら野党からも攻撃されるし国民からも反発がある、多少ともたじろぎがありました。財界の側も、あまり無理をおしつけて自民党政権が倒れたら困るという事情がありました。
しかし今度は、もう一つ受け皿の党が野党の民主党にもあるわけだから、少々無理を言って政権がたおれてもいいとして、物が言いやすくなります。
言われる方としても、相手の党に先をこされてはいけないと競争しあうという関係になります。財界がめざす保守二大政党制というのは、このように加速度的に、財界いいなりの悪政のスピードあげていくことが狙いです。