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2019年1月12日 05:00

知事、期日変更の混乱回避 県民投票全県実施困難 与党、市民の反発危惧

米軍普天間基地の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票で玉城デニー知事は、
県が市に代わって投開票事務を行うのに必要な条例の改正はせず、
事務の実施に同意する市町村だけでも予定通りの投開票日で実施することを決めた。

「全市町村実施」と「2月24日投開票」の達成を掲げてきた玉城知事だが、既に2月24日投票で印刷物の発注を始めた自治体もあるなど、
日付の変更により見込まれる混乱を避けるという観点から2月24日を変えない対応方針を県政与党とすり合わせた。
しかし全市町村実施を事実上断念することに市民の間には反発がくすぶっている。

 11日午後4時、報道陣が集まる県庁1階の会見場に玉城知事が姿を現したのは、呼び掛けがあった開始時刻を1時間近く過ぎてからだ。
発表文などの作成で事務方の文案に知事と副知事から何度も修正のやり取りが生じたといい、発言にかなり神経質になっていることをうかがわせた。

 会見した玉城知事は、現状でも5市は投票を実施すべきであるという法律の解釈を改めて展開し「全県実施を断念した経緯はない」との立場を強調した。

 県民投票条例の制定を直接請求した「辺野古」県民投票の会の元山仁士郎代表らは7日に県庁で謝花喜一郎副知事と面談し、
2月24日の実施にこだわらず「全市町村実施」の実現を優先するよう求めていた。
10日には県民投票の不参加を表明した沖縄市の桑江朝千夫市長と面談し、選択肢の見直しがあれば再考を「検討できる」との言葉を引き出していた。

 桑江市長との面談後、元山代表は「全市町村で同じ日に実施するというのが一番の優先すべき点だ。
万が一残り5市が拒否し続ければ、政治的な妥協点を探らないといけない」と述べ、
選択肢の見直しを含めた条例改正の協議も選択肢の一つと言及し、
事態打開に向けた県や県議会の動きに期待感を示した。

 だが玉城知事は会見で「条例を改正することによって混乱が生じるということもある。
本当にさまざまな課題があり、改正は難しい」との判断を示した。
「さまざまな課題」について記者に問われても具体的な例示はなかった。