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<道知事選>切り崩しへ本腰 鈴木氏十勝入り/石川氏は保守層に

 道知事選(3月21日告示、4月7日投開票)は、自民党、公明党が推薦する鈴木直道夕張市長(37)と、立憲民主党など野党が連携して擁立した石川知裕元衆院議員(45)の双方が、相手の支持基盤の取り込みに力を注ぎ始めた。
鈴木氏は16日、石川氏の地元十勝で政党・団体関係者に支援を求め、石川氏は経済界や市町村長に食い込もうと懸命だ。

 「昨日、堀達也前知事と2時間半ぐらい話し、『自分はまず日本海の漁業資源の問題に取り組んだ』と聞いた。しっかりそういう問題に取り組みたい」。
石川氏は小樽市で開かれた国会議員の会合で、堀氏との関係の近さとともに、自民が固い地盤を築く1次産業への思いをアピールした。

 堀氏は1999年、与野党相乗りで再選を果たした。戦後の道知事選で相乗りは、後にも先にもこの1回だけ。
堀氏は今も経済界を含め幅広い人脈があり、会合に出席した立憲民主党関係者は「味方につければ、保守票を切り崩せるのでは」と期待する。

 石川氏の陣営が着目するのは、自民の候補選びの過程で起きた混乱だ。経済界や市町村長の有志が、国土交通省の和泉晶裕北海道局長を推した。石川氏は最近、古くから自民を支持する有力経営者と会食した。

 政策の柱に、市町村長や経済人らと道政課題を議論する「北海道経営会議」を掲げるのも、「和泉派」を引き込む狙いがありそうだ。労組関係者は「表立って支援してもらうのが難しければ、せめて鈴木氏の応援を足止めできればいい」。

 鈴木氏は16日、帯広市の乳牛農家を視察し、「十勝は日本の食卓を支える国内最大規模の農業地帯で、極めて重要だ。日本の食を守る観点から公約に思いを取り込む」と語った。

 自民の支部会合に出席し、和泉派の急先鋒(せんぽう)だった喜多龍一元道議会議長と隣り合わせた。喜多氏は鈴木氏に「頑張って」と声をかけ、取材には「決まったら一致結束するのが自民党のいいところだ」と強調した。

 鈴木氏は商工会議所会頭や農業界の有力者、創価学会幹部と相次ぎ面会。新党大地の鈴木宗男代表、自民党の鈴木貴子衆院議員父娘の新年会で「北海道、3人鈴木がそろえばこんなに強いことはない」と訴えた。

 石川氏は、宗男氏と十勝管内足寄町の同郷で、大地にいた時期がある。鈴木氏の一連の動きは、十勝の支持が石川氏に流れないようくさびを打つ狙いがある。

 鈴木氏は16日、「夕張市長として8年、自治体経営の観点から仕事した」と記者団に述べた。野党側が鈴木氏と首相官邸の結びつきを指摘し、「地方自治が問われている」としていることに対抗心をにじませた。