やはり、赤字国債の発行に関しては野党との対立軸となり、解散総選挙をやる大義名分になるな


巨額補正予算案 赤字国債増発は必要か
https://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2019112602000119.html

 台風被害の復興対策などを盛り込んだ巨額補正予算案が編成される見通しだ。税収不足が確実視される中、赤字国債も検討中だ。借金を増やしてまで景気対策が必要なのか冷静に議論すべきだろう。

 大型補正を求める声は自民、公明の与党幹部から相次いでいる。十兆円規模の財政支出が必要との意見で一致し政府も前向きだ。

 確かに米中貿易対立の行方が予断を許さず、景気の行方は楽観視できない。ただ政府は国内景気の総括判断について十一月の月例経済報告で「緩やかに回復している」を維持している。

 雇用情勢や株式市場、為替水準など国内経済を診断する上で欠かせない指標もおおむね安定している。消費税増税の影響も現段階では顕在化していない。
このタイミングで巨額財政をつぎ込む対策がなぜ必要なのか大いに疑問だ。

 さらに赤字国債を増発する流れが強くなっていることも心配だ。政府は当初、二〇一九年度税収見通しを六十二兆五千億円としていた。
だが米中の対立が深刻化したために輸出が伸びず、法人税が大幅に減った。この結果、政府は税収見通しを一兆〜二兆円下方修正せざるを得なくなっている。

 大型補正を組めば税収が足りず、赤字国債で穴埋めする形となる。それは国の借金が国内総生産(GDP)の約二倍に当たる一千兆円を超える中、新たな借金を背負って財政支出を増やすことにもなる。

 国債の多くは銀行を経由して日銀が引き受ける状態が続いている。日銀の財務状況の悪化による債務超過を指摘する声さえ出ている状況だ。
日銀を「打ち出の小づち」のように用いる財政手法は健全性からは程遠い。

 消費税増税は、社会保障の再構築とそれに伴う財政の健全化を念頭に「将来への備え」として踏み切ったはずだ。
国債増発は足元の経済への不安を払拭(ふっしょく)するために、借金を若い世代にツケ回しすることにほかならない。

 補正は災害対応のためのインフラ整備や教育現場でのIT投資が軸という。
来年度に向けた税制改正では、大企業によるベンチャー企業投資や第五世代移動通信システム(5G)導入を早く進める携帯電話会社などへの減税が議論されている。

 消費税増税で家計の支出は確実に増え、実質賃金は依然、伸び悩んでいる。アベノミクスが国民負担だけを強いるのであれば、とても容認することはできない。